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(月ものネタ。  この時点で引いた人はまわれ右でお願いします) 強くありたいのに こんなとき何故私は女に生まれたのかと自問する wonder drug 朝九時。 カードキーを通して、ボタンを押せば開く自動ドア。 白を基調とした部屋。 リノリウムの床。 薬品の香り。 奥から出てくる一人の白衣の女性。 「あら、アールストレイム卿。  いかがしました?」 「・・・鎮痛剤、頂戴」 そういえば彼女は怪訝そうな顔をした。 「・・・昨日もお渡ししたはずですが」 「ごめん。無くした」 彼女ははぁとため息をついて。 「・・・わかりました。  でも、これだけは守ってくださいよ。  ちゃんと一日三錠までです。  それでも腹痛が辛いなら訓練の量を減らすなりしてください」 「・・・わかってる」 彼女はそう言いながら白い錠剤の入った袋を私に渡す。 「ありがとう」 それを持って外に出ようとした時だった。 「・・・アールストレイム卿」 「・・・何?」 「・・まさか食べてなかったりとかしてないですよね」 「・・・大丈夫。じゃあ」 無機質なドアは音を立てて、私を飲みこんで その部屋から拒絶した。 部屋に戻り、ピルケースに錠剤を入れる。 私はあの部屋でいくつか嘘をついた。 一つ目、昨日貰った錠剤。 無くしたのは嘘。 貰った三日分の錠剤は一日で消えた。 二つ目、私は昨日からほとんど何も口にしていない。 お腹が痛くて何も食べたくない。 どう足掻いたって逃げれないものが私にだっていくつかあって。 月一度の下腹部の不快感と腹痛。 特に私は腹痛が酷かった。 そして今日は一番辛い日。 鎮痛剤がなければ訓練なんてとてもじゃない・・こなせない。 でも今日は朝から訓練日。 ついていない。でも私は軍人だから。 ピルケールから二錠薬を口に入れて、 水を飲んで、パイロットスーツに着替えるため 更衣室に向かった。 「アーニャ!おはよー」 「・・・おはよう、ジノ」 「おはよう、アーニャ」 「スザクも・・・おはよう」 更衣室を出て、モルドレッドに乗り込む前。 同じく訓練に来た二人に会った。 「スザクも・・訓練・・?」 「ああ、スザクは今終わったとこで、これから仕事」 「アーニャは今から?」 こくりと首を前に振る。 その時ふと目があったスザクが私の顔を覗きこんでくる。 「・・何?」 「いや、アーニャ・・・君、顔色悪いよ」 「・・・気のせい」 「・・・そう?・・まぁ、無理しちゃだめだよ」 「・・・・・」 「じゃあ僕行くから、また後で」 「おお」 「・・・じゃあ」 スザクに言われたことが少し気になったが大丈夫。 腹痛は今は鎮痛剤で和らいでいるし・・。 倦怠感はあるが、訓練はできる。 だいじょうぶ。 「アールストレイム卿」 名前を呼ばれた。 機体へのリフトへ乗る。 そのとき。 「アーニャ」 ジノに名前を呼ばれて、振り返る。 「今日の訓練内容は?」 「・・今からモルドレッドからの射撃訓練の後」 「一対一で俺と実戦訓練?」 肯定をしめし、頷けば。 ジノは少し考え込んで。 「・・実戦訓練、やめとこう」 「・・どうして?」 「スザクも言ってたけど、お前顔色悪いから」 「・・大丈夫。気のせい。さっきも言った」 「・・けど・・・」 「自分の体調くらいわかる」 なんだか渋るジノに苛々して、 そのままリフトへ乗りこんだ。 モルドレッドを機動させて、 銃を握る。 標準を合わせて、的を撃っていく。 でも、おかしい。 今日は2つも外してしまった。 射撃訓練が終わって、 演習場へ入る。 実戦といつつも、ミサイルなどは使えない。 シンプルにナイトメア用の大型ナイフのみを用いた一対一での勝負。 砲撃型のモルドレッドには一見不利に見えそうだが、 モルドレッドはスピード重視のトリスタンに対して パワー重視なので、ある意味押し切ればなんとかなる。 ジノが本気を出さなければの話だけど。 構える前にジクリと下腹部に痛みが走った。 思わずお腹を押さえて、唇を噛む。 身体の中からその臓器だけが殴られてるんじゃないかって痛み。 もしかすると、身体が薬に慣れてしまって 効きにくくなっているのかもしれない。 『アーニャ?』 「・・・ごめん・・待って」 通信で呼びかけてきたジノにそれだけ伝えて、 小さな水筒とピルケースを出す。 三錠出して、一気に口に含んで飲みこんだ。 気づいたら痛みから息が荒くなっていた。 「ジノ」 『ん?』 「・・始める」 『・・・アーニャ・・ホントに大丈夫・・』 「いくから」 『お、おい』 そのまま一気にトリスタンに攻撃をしかける。 だが相手はジノだ。 三の位は伊達じゃない。 一瞬で反応して切り返してくる。 ギラリとした刃が横をすっと通った瞬間に 白い機体の腕を掴む。 封じた。 だが次の瞬間に彼はナイフを投げ、 それを空いてる手で掴む。 そして、距離が縮まったことを逆に有利にして動いてくる。 苛々する。 気づけば自分の動きが無駄の多いものに 変わっていることに気づいていなかった。 通信がぷつりとなる。 『アーニャ、どうした。  今日のお前おかしいぞ』 「・・・ジノ、煩い」 『・・おい、アーニャ』 「煩いッ!!!!!!!!」 そのままナイフを振り上げた手が 瞬時にトリスタンの腕に掴まれて ナイフを取り上げられた。 そして、それはモルドレッドに向けられる。 『アーニャ、落ちつけ。  どうした・・動きが乱れてる』 「・・・もう一回」 『駄目だ。なんかおかしいって。  休憩しろ』 「私は大丈夫ってさっきから・・・・・っ・・」 『アーニャ・・?』 「あっ・・いっ・・」 激痛。 頭がくらくらする。 『おい、アーニャ!どうした、返事しろ!!』 「・・くす・・り・・・・っ・・・」 朦朧とした意識の中ピルケースを探した。 けれど、プラスチックのそれに触れた瞬間。 「アーニャッ!!?」 突然アーニャの通信が途切れた。 否、繋がっているが返事がない。 すぐに整備に連絡する。 「モルドレッドのパイロットの様子がおかしい。  訓練を中断する」 そういえば、急いで動かないモルドレッドを格納庫へ引っ張っていく。 元の位置へ戻し、急いでトリスタンから降りて リフトを使い、モルドレッドのコクピットを開けた。 そこで見たのは 真っ青な顔で椅子に倒れて 意識を失っているアーニャと 床にばら撒かれた白い錠剤。 転がった水筒。 「アーニャッ!!」 急いでベルトを外し、抱きあげた、 その体は驚くほど軽かった。 紫色の唇を見た瞬間に 何か背筋がぞくりとして、 彼女の細い体を抱き、 コクピットから出た。 「ちょっと退いて!」 集まってきた整備士やらをかき分けて 小さな体を横抱きに、そのまま医務室へ走った。 ゆっくりと浮上してくる意識。 瞼を上げれば蒼いふたつの瞳が心配そうに見つめていた。 「アーニャ・・」 「・・ジノ・・・・?」 見回せば、白い部屋。 私の嫌いな薬品の匂いと冷たい床。 医務室。 ああ・・わたし・・・ 「・・倒れた・・・?」 「・・訓練中に意識を失ったんですって?アールストレイム卿」 カーテンの外から出てきたのはここに常勤するあの女医だった。 「アールストレイム卿」 「・・・・・」 「・・・薬、何錠飲んだんですか・・・・」 「・・・朝貰った後二錠、訓練前に三錠」 「一日三錠って言ったじゃないですか!  しかも、貴方酷い貧血だったんですよ・・。  ヘモグロビン値もただでさえ低いのに・・。  あと、食事も腹痛のせいで抜いていたでしょう!!」 「まぁまぁ・・・俺がしっかり怒っておくから。  先生は診察室に戻ってくださいよ」 「・・しかしヴァインベルグ卿・・。  アールストレイム卿はこれが初めてじゃないんですよ」 「・・・は?」 絶対ばれたくない人にばれたくないことがばれそうな気がした。 「前も錠剤を過剰に摂取して、逆に体調を崩されたり。  訓練第一なのはいいことですが、自分の体調を整えてから行うのは  軍人として最低限のことです」 「・・・・・ごめん」 女医は溜息をついたあと、苦笑して、 「腹痛が辛いのはわかりますが、  それを逃れることはできないんですから。  ・・・・女である以上。  休む時はちゃんと休んでくださいよ。  今日はもう絶対安静ですから」 それだけ言って、出ていった。 扉がかちゃりとしまる音がした。 ジノは私をちらりと見た。 私はなんだか彼を見たくなくて、視線をそらした。 ぽつりと、 「そういうことか」 と聞こえた。 どうやら私の腹痛の原因を分かってしまったらしい。 そして、暫く沈黙が包んだ後、 「・・・アーニャ」 少し低くなった声の方向に目をやれば やっぱり彼は少し眉間に皺を寄せていた。 怒っている、やっぱり。 「・・・どうして無理したんだ」 「・・別に・・・大丈夫って思った」 「自分の体調・・わかってたはずだろ」 「・・・・・・」 彼は溜息とともに呟いた。 「・・・これが、戦場だったら死んでた」 額に大きな掌が乗せられた。 温かい熱が伝わった。 心配してくれてるのは、わかる。 でも。 「でも・・・毎月、こんなこと、できない」 「・・・こんなことって・・?」 「・・訓練を休んだり・・・」 「・・・でも訓練のメニューを変えるとか量を減らすとかはできる。  体調だけはどうにもならないんだから。  こういう時は素直に大人しくしてること。いいな?」 「・・・・・」 「・・・もう」 「・・・今日みたいに、真っ青な顔したアーニャなんて見たくないから」 俯いた顔をちらりとみて。 私はごめんと呟いた。 ジノのこんな顔、私ももう見たくなかった。 彼はその後微笑んで、 「もう、こんな心配させるな」 と言いながら頭をくしゃりと撫でた。 その後、彼は暫く私の頭を撫でた後、 ベットにその手を入れた。 私の下腹部に彼の大きな手が触れた。 「ジノ・・・?」 「痛いの、この辺?」 そう聞かれ、頷くと、その場所を数回優しく撫でられた。 温かく大きな掌は心地がよかった。 あれだけ酷かった痛みが嘘みたいにひいていった。 「俺も昔お腹壊した時とか母さんが腹を撫でてくれたなぁ・・」 「どうせ・・アイスの食べ過ぎとかでしょ・・・」 「あ、バレた?」 「・・・一緒にしないで・・・ばか・・・」 「ごめんごめん」 優しい蒼い瞳は穏やかな色で私を見つめていた。 なんだかその大きな温かい掌に撫でられていると心地よくて眠くなってくる。 「ん・・・アーニャ眠いか・・・?」 「・・・う・・ん・・・」 「じゃあ、ちょっと寝よう。寝たら少しはよくなるだろ?」 「・・・・ん・・・じの・・」 「なに?」 「ジノが・・・擦ってくれたら・・痛くないから・・・」 「お腹・・・痛くなったら・・・撫でて・・・・・・・・」 「わたしが寝るまで・・・撫でてて・・・・・」 そういえば、ジノは少し驚いて、 そしてすぐに笑って、 「わかった」 と言うと、また何度もお腹を擦ってくれた。 やがてうとうとと私は眠りについた。 きっとかれのてはまほうのてで それはわたしにとって なによりのとっこうやくなの