(微エロ) だるいからだをまかせて あたたかいぬるまゆは あなたのおおきなからだみたいね そのたいおんみたいね DUCK 彼女と同僚という関係から恋人という関係になって。 ・・・最終的に肉体関係を持つようになって。 そうなってから、“これ”は始まった。 最初は行為後にするようになって、 彼女はすごく恥ずかしがっていたのだが 最近じゃ、行為無しでも“これ”をするようになった。 つまりは一緒に風呂に入るという事。 もう彼女のお気に入りのシャンプーもボディーソープも 暇つぶしのアヒル人形も パジャマも可愛らしい下着すら 俺の部屋に常備されている。 今日は仕事が終わって。 彼女を部屋に誘って、熱を分け合って。 彼女は初めての時より 眠気に堪えれるようになったのか。 俺と二人で今は風呂に入っている。 疲れた彼女の裸体を膝の上に乗せて 桃色の柔らかい髪を 洗いあげる。 その髪をまとめて、あげて。 少しうとうとした表情が可愛らしい。 泡を流して、次は身体。 最初は恥ずかしがって絶対身体なんて洗わせてくれなかった。 でも今は大人しく身体をスポンジで洗われている。 小さな胸も細い腕も足も全部全部。 ただその真っ赤に染まった頬は最初の頃と変わらない。 全部洗い終わると浴槽に彼女を入れようとするのだが。 「・・次はジノ」 そう言って照れた頬を俯いて隠して。 背中にまわりこまれる。 解かれた長い金髪が彼女の細い指に絡まって 彼女のその指が俺の髪を泡で洗いあげるのを 感じながらドキリと心臓が脈打つ。 泡を流されたら 背中にスポンジを当てられる。 数本の引っ掻き傷にスポンジが当たる。 ゆっくり遠慮がちに擦られて 「くすぐったい」 「・・・痛くない・・・?」 「これくらい別に痛くないって。  男の勲章だろ?」 「・・・背中の傷は男の恥」 「抱いた女の引っ掻き傷はべつー!」 「・・・ばか」 振り向いた彼女はきっと真っ赤だ。 さっきより、ずっとずっと。 一通り背中を洗われたら すっとスポンジが渡される。 「前」 「それは自分でして」 「えー」 「やだ」 彼女からスポンジを受け取って 前を洗う。 彼女は暫く俺の後ろにちょこんと座っていたが やがて湯船に浮かんだアヒル人形を的にして何かを投げていた。 俺が泡を流して、二人で浴槽に浸かる。 彼女は俺の向かい側に座ろうとしたが それを捕まえて、彼女の定位置(つまりは俺の膝)にのせる。 目の前には白い項。 細い腰を抱きしめて、 項にキスすれば、小さなカラダが震えた。 「ジノ・・ッ」 「んー、これだけ。もうしない」 そう言って唇を離せば、振り向いた揺れた紅の視線と 絡まった。 そんなことするから煽られるのに。 なけなしの理性を拾い集めて、 ふと湯に目をやれば紫色・・しかもいい匂い。 「入浴剤入れたのか?」 こっくり揺れる、小さな頭。 「・・やだった?」 「ううん。これ、何の匂い?  落ち着くな」 「・・・ラベンダー」 「ふーん・・さっきアヒルにあててたヤツ?」 「うん・・ボールの形なの」 彼女は膝の上で話しながら、アヒルをつついている。 そんな彼女が可愛くて仕方なくて。 小さな悪戯。 「なぁ、アーニャ」 「何」 「ここみて?」 「・・・・?」 彼女の顔の下に組まれた水中にある俺の手。 彼女が不思議そうにそれを見つめた瞬間。 「きゃっ」 「はははははっ!!かかったー!」 手の中から勢いよく出てきたお湯。 彼女の顔にかかる。 「・・・・ジノ」 「ごめんってー」 振り向かれた顔は少し不服そうで。 優しく頭を撫でたら、そっぽを向かれた。 だけど暫くして機嫌を直したのか。 「・・・ジノ」 「ん」 「・・さっきの何・・・?」 「アレ?水鉄砲。スザクにプールの授業の時にやられた」 「・・・ふーん」 そうして彼女は自分の掌を見る。 その意味が分かって、少しだけ微笑んだ。 「アーニャ」 「・・・」 「手をな、こう重ねるの」 「・・・」 「で、ここに指をかけて」 そうやって小さな手を組んでいく。 「そうそう。で手首の方を少し開けて、お湯を入れて  わっかをぎゅってするんだよ」 「・・こう・・、わっ・・」 「そうそう」 彼女の手の中から零れた紫色。 勢いのよさに驚いた彼女が数回同じ事をして。 そして、柔らかく微笑んだ。 その顔だけで、どれだけ俺が幸せになれてるか しらないんだ 「アーニャ」 ふわりと振り向かれた顔。 小さな唇に一瞬口付けて。 「好きだよ」 のぼせそうなくらい真っ赤な彼女は 何も言わずに俯いた。 なんだか悔しくて その顎に指をかけて上を向かせる。 潤んだ紅を見つめて その額に その瞼に その頬に その首筋に 順にキスしていく。 どれだけキスしたって満たされないんだ。 ああ、君は違うんだ。 今まで一緒にいたどんな女なんかとも比べ物にならない。 大人の女じゃない。 カラダだってまだ幼い。 ココロだってまだ幼い。 でもその唇と潤んだ瞳に欲情するんだ。 「・・ジノ」 「なに、アーニャ」 「・・・・あの・・ね」 「うん」 「・・・・わたし」 彼女の顎を掴んでいた指先は今は彼女の指と絡まって。 彼女は言いたげで、でも恥ずかしそうで。 もごもごしている表情がたまらなく可愛い。 「アーニャ」 「・・・・」 彼女は何かを思いついたように 手を離した。 その変わり彼女に握られたのはアヒルの人形。 その頭は彼女の顔の前。 長いアヒルの嘴の先は彼女の唇と重なってる。 俺は意味がわからなくて でも次の瞬間。 アヒルの嘴は俺とキス。 思わず彼女を見ると 真っ赤になって。 ああ、なんなんだ、この可愛いいきものは。 「・・す・・き・・・」 思わず顔が真っ赤になって。 二人して固まった。 あひるはしらない かれはむらさきのみずうみにはんてんしてるから むらさきになまぬるいうみのなかで ふたりでしゃくねつのくちびるをもとめあってることなんか それはふたりだけのひみつ