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ぼくはおしえられる しあわせのていぎを I am happy. あの記念館襲撃事件の次の日。 学校は休みの日で。 父さんも休日だった。 いつもより遅く起きれば 起き手紙と朝ごはんが置かれていた。 といってももう昼に近い時間だった。 『父さんと買い物に行きます。  昼までには帰ります。  昼から知り合いが訪ねてくるので  もし帰る前にきたら客間に通しておいて』 母の整った字が書かれたメモをごみ箱に入れて ご飯を食べる。 客か。 この家に客が来るなんていうのはとても珍しい。 来るのは訪問販売のおじさんくらいかと思っていたが。 なんだか落ち着かなくて。 身支度を整えて近くの公園へ行く。 一昨日より世界の色が違って見えた。 一昨日より世界の風が冷たく感じた。 世界は僕の知らないことばかりで。 どうしていいか全然わからなかった。 釈然としない気持ちと わからないもやもや感だけが心に蓄積されていく。 暫く散歩して家に戻れば、 やはり母さんと父さんはまだ帰っていないみたいだった。 家の鍵をドアに差し込んだ時だった。 後ろから。 「・・・ヴュンシェ・・・君、だよね?」 声をかけてきたのは スーツにサングラスの男。 明らかに怪しい。 僕は訝しげに彼を見て。 「誰・・ですか?」 「えーっと、お父さんとかお母さんに聞いてないかな?  僕、ちょうどお昼くらいに来るって連絡したんだけど」 そう言って、彼はサングラスを取った。 緑色の瞳を見た瞬間、 いくら歴史と 政治にうとい僕だって、 その人が誰かぐらいわかった。 「枢木・・スザク・・大臣・・・!!」 彼は微笑んで。 「あはは、驚いた?  えーっと、僕が来る事は聞いてなかったみたいだね」 「あ・・え、ええ・・」 僕が呆然と固まっていると。 「えっと・・・ここで話すのもなんだし・・・。  上がってもいいかな?」 「あ、はい!!」 彼を家の中に招き入れた。 「お邪魔しますー」 「あ、はい・・」 いくら両親が元皇族守護専門の騎士であるとはいえ、 まさか自宅に一つの国の政治を行っている大臣がくるなんて 想像もつかなかった。 ・・・母さん、僕にこの客人の相手をどうしろと・・・! そう思いながら、客間へ案内する。 「ああ、変わってないね、この家。  十年前と一緒」 「へ?」 「ああ、そうか・・君は最後に会ったとき、  まだ2歳だったからね。  僕の事初対面だと思っただろ?」 「は、はぁ・・・・」 「実は会うのがこれで3回目。  初めて会ったのが君が生まれた直後で  次が2歳の時かな。  ずーっとアーニャの後ろに君ひっついてたんだ。  『ああ、これはジノみたいになるな』って思ったんだよ、確か」 そんなこと全然覚えてなかった。 僕はどうしたらいいかわからず、 とりあえずコーヒーを淹れて 出した。 「有難う」 彼は父さんとは少し違うが人懐っこい笑みを持ってる。 だけど、どこか悲しげな人だと思った。 僕は彼の向かい側のソファーに座った。 「あの・・・」 「ん?」 「父さんと母さんは買い物に出ていて・・すぐ帰ってくるみたいですけど・・」 「ああ、うん。気にしなくていいよ」 暫く僕は何を話せばいいかわからなくて、 でも聞きたい事はいっぱいあって。 「あの・・」 「?」 「聞いても・・いいですか?」 「いいよ、何?」 「父さんと母さんの事・・・」 「・・ジノとアーニャがどうかした?」 「僕」 「昨日、初めて知ったんです」 「二人がナイトオブラウンズだったこと」 彼はコーヒーを飲む手を止めて、 ソーサーにカップを置いた。 「・・・そっか」 「・・・・母さんが軍人になるって聞きました」 「・・・そうだね」 「どうにもならないってわかってるけど」 「僕は・・・これ以上母さんに不幸になってほしくないんです」 彼は目を丸くして、笑った。 「枢木・・大臣・・?」 「あはは・・ああ、スザクでいいよ。うん」 「え!でも・・」 「名前を付けた子に大臣呼ばわれされたら  僕だって少し落ち込むよ・・・」 「名前・・?」 「あれ、もしかして、これも聞いてないの?」 「ヴュンシェって名前を君につけたのは、僕だよ」 僕は驚いて、身を乗り出した。 「え!!!?父さんじゃないんですか!!」 「うん。まぁ、本当はジノがつけるべきだったんだけど。  アーニャが僕につけてほしいって言ってくれたからね」 「・・・母さんが?」 「うん。・・・・あ、一応言っておくけど、  君の母さんとは変な関係は一切ないからね」 笑って、その後。 「僕ね、大切な人を昔に亡くしててね。  もうその人以外の女性を愛する気はないんだ」 「アーニャはそれを知ってたから、  僕に君をつけてもらいたいっていったんだよ」 なんだか、その時の母さんの顔が浮かんだ気がして。 「あ。でさ。君はどうしてアーニャが不幸だと思うの?」 「・・・ブリタニアが負けて、元々は二人とも裕福だったのに。  僕が生まれて、こんな生活になって。  しかも母さんはこれからまた軍で働かなくちゃならない。  ・・・また手を汚さなきゃならない。  きっとまた悲しむ」 「ぼくなんてうまれてこなきゃよかったんじゃないかって」 本当にそう思った。 かあさんのあの辛そうな顔がよぎった。 「ううん、間違ってる」 「え」 「君がいたからこそ、あの二人は今あんなに笑ってられるんだよ」 そう言った彼は鋭い碧の眼光を僕に向けた。 「二人は、あの日、あの場所で  死ぬつもりだったから」 「え・・・・?」 「でも、あの時の二人は君がアーニャのお腹にいたから  ジノだってどんな酷い仕打ちだって堪えれたし、  アーニャだってね」 「・・・・・でも」 「それにね、アーニャは」 「昔はあんなに笑う子じゃなかったからね」 昨日微笑んで家から送り出した 母の笑みを思いだした。 確かに母はあまり笑う方ではないが たまに見せる微笑みがとても温かい人だ。 「君がいたからこそ、  しあわせだって思えたんだよ  彼女は」 「『名誉も地位も金もなにもいらないから』」 「・・・?」 「『アーニャと幸せな家族を作ってみたいって思った。  で、ヴュンシェも生まれて、実現した。  地位も名誉も金もないし、辛い時もあるけど』」 「『俺達、今すごく幸せだって思ってる』」 スザクさんはそう言って、笑った。 「君の父さんがよく言ってる」 「君の両親は僕が欲しかったものを持ってるから」 「時々すごくうらやましくなるよ」 スザクさんの切なそうな笑いと その父さんの言葉に一筋の涙が零れた。 ぼくはすごくしあわせなにんげんなんだって ふたりのこどもにうまれてきて、すごくしあわせだっておもった 「たっだいまー!!!!あっれ、もうスザク来てる!!」 「ジノ、煩い」 玄関のベルが鳴って。 スザクさんと二人で玄関へ行けば。 たくさん食べ物の入った紙袋を持った父さんと ハンドバックだけを持った母さんが帰ってきていた。 「おかえり、父さん、母さん」 「おかえり、ジノ、アーニャ」 「ただいま、スザク、ヴュンシェ」 「・・・ただいま」 その後4人で昼食を取った。 母さんのご飯をスザクさんも 「おいしい」と言って食べていた。 「・・・スザク」 母さんがふと口を開いた。 「何?アーニャ」 「・・そういえば、どうして来たの・・?」 「・・・・・・・・え・・・ジノ・・」 「え?」 「まさかと思うけど、二人に言ってないの?」 「だってギリギリまで内緒にするべきだろ、こういうのは!」 「なっ!!!?あ、あと一週間しかないんだよ!!!!」 父さんが笑っている。 スザクさんの笑みが引き攣っている。 母さんは嫌な予感を感じたのか、すごく嫌な顔をしだした。 「君ってほんっと昔からそういうヤツだよな・・・」 「さすが、スザク!で、場所とれたのか・・・!!?」 「・・・・君の無理難題を権力でクリアしてあげたよ」 「さすが!大臣閣下!!!ありがと――!!!」 父さんははしゃぎながらスザクさんに抱きついた。 「で、何」 母さんがすごく嫌そうに聞いた。 僕もなんだか嫌な予感がした。 父さんの企画事はたまにろくな事がない気がする。 父さんは笑って。 そりゃもうすっごく笑って。 「じゃあ、発表するな!」 「来週の日曜日」 「アーニャと結婚式を上げます!!はいっ、拍手!!」 一瞬ハイな父さんの前で冷たい空気が吹いて。 僕は。 「・・・・はあああああああ!!!?」 僕は母さんを見た。 完全に固まっていた。 スザクさんは呆れて溜息をついて。 父さんだけは 「あれ、拍手しろよ!」 って言っていた。 あたたかいかぞくがいること それがほんとうのしあわせなんだって はじめてしったひだった