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ぼくはせかいでいちばん うつくしくほほえむひとを しっている I love you 「お綺麗ですよ」 そう言われて目を開ければ 見たことのない自分が鏡の中にいた。 純白のドレスに身を包んだ私は なんだか不思議な感じだった。 一週間前スザクが帰った後 ジノに全てを聞いた。 実はあの浪費癖がひどかったあのジノが ずっと貯金をして資金を貯めていて。 スザクの協力を得て、準備をしていた事。 思わず嬉しくてこっそり涙を零した。 バレてしまったけど。 そしてその次の日 連れていかれたのはドレスの仕立て屋。 実はもうドレスもできていて。 ジノの壊滅的なセンスの悪さにどうしようかと思ったが ドレスは驚くほど美しかった。 聞けば私の写真を仕立て屋に見せて 「彼女に似合うドレスを」 と言ったそう。 (実は心の中でほっと溜息をついた) その純白のドレスは私にぴったりで。 シンプルなデザインだったが、 とても綺麗だった。 でも彼は最後まで そう結婚式当日まで。 会場だけはどこか教えてくれなかった。 当日になって連れていかれた場所に 私は声が出なくなった。 「う・・そ・・・」 「スザクにさ、どうしてもここがいいからって頼んだんだ」 思わず涙があふれた。 最近泣いてばっかり。 いつからこんなに涙脆くなったのかな。 もう・・・年なのかな? 息子は不思議そうに首を傾げていた。 そう、彼にはまだこの話はしていないから。 用意をしてくれた人が退出して。 鏡の中の自分を見つめていたら、 ノックをされた。 「・・・はい」 入ってきたのは、勿論。 「アーニャ」 真白いタキシードは 悲しいくらいあの制服を思い出させた。 座ってる私の前に屈んで 白い手袋に包まれた手を大きな手で包まれた。 もう黒い手袋じゃないね 「すごく綺麗」 でもその笑顔だけはずっと変わらなかったね いつだってその笑顔に安心して 何度だって頬を染めてしまう。 「キスしたいけど化粧とれちゃうからなー」 残念そうに手の甲に口付ける。 ああ最初と一緒。 あのふざけた始まりと一緒ね。 もう一度ノックされる。 返事をすれば懐かしい顔がいっぱい。 スザク モニカ ルキアーノ ノネット そして彼らが祝いの言葉を述べて ジノと一緒に退出して もう一度ノックをされて 次は誰だろうと思って 「・・・ナ、ナリー・・・ッ」 「お久しぶりです、アーニャさん」 そこには死んだとばかり思っていた少女。 私の呪縛をといてくれた人。 もう美しい一人の女性だった。 思わず涙をこらえるのに必死だった。 「招待状をスザクさんから貰ったんです。  お兄様経由でしたけど。  お兄様に外出許可を頂いて、  スザクさんと一緒にきたんです」 「・・・あの時死んだと思ってた・・」 「・・・あの後、私はお兄様の元に引き取られて  今は二人で暮らしています。  元総督でしたから、ひっそりとした生活ですけど・・・。  でも幸せです」 「・・よかった・・・」 「アーニャさん」 「・・・何・・・?」 「あらためて ご結婚 おめでとうございます」 「ナナリー・・・ありがとう・・・」 その時またノック。 「母さん、入るよ!」 入ってきたのはヴュンシェ。 「母さん!そのドレスすごく似合ってる!  ・・あ・・すいません・・  ごめん、母さん、また来るから・・・」 「いいんです」 「え?」 ナナリーが彼に微笑んだ。 「ヴュンシェ」 「何?」 「ここにきて」 「え・・あ、うん・・」 彼を私の隣に立たせる。 「ナナリー」 「はい」 「私の息子、ヴュンシェ」 「あ・・どうも・・・」 「初めまして、ヴュンシェさん」 ナナリーは彼に細い手を差し出した。 握手をする。 「ナナリー・ヴィ・ブリタニアと申します」 「・・・ブリタニアって・・・皇女様ですか・・・?」 「もう元皇女ですよ・・ヴュンシェさん。  もうブリタニア皇族には何の力もありませんから」 そうやって彼女は笑う。 「ヴュンシェさんは、いくつですか?」 「12です」 「ふふっ・・・声がジノさんに似てますね」 私は思わず口を開く。 「・・・そう?」 「ええ、大きくなったら、彼みたいによく笑う人になるといいですね」 「家に煩いのが二人もいたら困る」 「ふふっ・・アーニャさんはいつもそういうけれど  私は知ってますから。  ジノさんの事大好きだってこと」 「・・・ナナリー」 「いいじゃないですか、本当のことなんですから」 思わず頬が熱くなって、先程手の甲にキスされた事を思い出していた。 ヴュンシェまで笑っていた。 そうしていると時間だと言われて、 ナナリーは退出した。 私も立ち上がった。 大きな扉の前に立つ。 その扉は閉まっていて。 隣にはヴュンシェがいる。 本当ならば私の父が隣にくるはずだったが 父は戦争で亡くなった。 私は父の葬式にすら出ることができなかった。 一昨日、墓前に報告にいった。 今更だけれど。 葬式すら出れなかった娘でごめんなさいと。 父が亡くなった時 母は葬式に出れなかった私に 『死なないでくれればそれでいいの』 そう涙声で言った。 その母は今きっとこの中で座っている。 この式の事を最も喜んでくれた人の一人だ。 白いベール越しに見える扉。 手に持たれたブーケ。 ヴュンシェの腕に腕を絡めた。 あんなにちいさかったのに もうこんなにおおきくなったんだね あんなにわたしのうしろにひっついていたのに こんなにおおきくなったんだね あんなにちいさくてもろかったてのひらは こんなにおおきくなったんだね そこまでかれににたのかな? きっとあなたもいつかだれかをあいするんだね きっとしあわせになるんだね ううん、ならないとね 大きな扉が開く直前 ヴュンシェが口を開いた。 「かあさん」 「・・・?」 「ぼくはかあさんととうさんのこどもにうまれてきてよかった」 その言葉に潤んだ瞳をこらえるのに必死だった。 一番彼の口から聞きたかった言葉だった。 私は何も言えなくなって。 ただ俯いて 「ありがとう」 そう呟いた。 大きな扉が開いて 真っ赤な絨毯の上を息子と歩く。 大きな拍手が私達を包む。 ステンドグラスの前には彼がいる。 赤い絨毯を進みながら 思い出す 始まりはあの手の甲のキスだった。 嘘みたいな 愛してるっていう言葉だった。 そこからはじまった あなたがいたから ぜんぶはじまったんだね わたしはあなたと であうために たたかうために こいするために きすするために だきあうために わらうために なくために おこるために かなしむために えいえんをちかうために うまれてきたの 腕を解いて 彼の隣に立つ。 病める時も 健やかなる時も 死が二人を分かつまで ううん ちがうよね 死が二人を分かちても だよね 指輪を交換する 彼がもう一度 同じ場所で 私にこの指輪をはめる 左手の薬指に もう一度永遠を誓おう この場所で 銃声が ヴァインベルグ卿と アールストレイム卿を 殺したこの場所で もう残酷な女神様はいないよ もう二人の手にはマシンガンは握られてないよ 私の手にはブーケしか握られてないよ もう銃声は聞こえないよ 悲鳴も涙も もう誰も傷つかないよ もう誰も邪魔しないよ もうずっと一緒だよ なんどもなんども こいをする なんどもなんども こいをする そのえがおいっしゅんいっしゅんに いつもちかいつづけます そのえがおになんどもこいをする ずっとずっと ヴュンシェがおとなになっても わたしたちがおいても ずっとずっとちかうから ゆっくりとベールを上げられる。 涙を流していることに驚いていたけれど やっぱりいつものその笑顔で笑ってくれる。 誰にも気づかれないように ほんとうにちいさなこえで わたしだけにきこえるこえで あのひとおなじことばをいう 「あいしてる」 くちづけはやさしかった みみをついたのはおおきなはくしゅ はなれたくちびるとどうじに なきながらわらった みあげればかれのえがおがまぶしい なみだのたまっためじりにもういちどきすされる あなたはわたしを せかいでいちばん わらわせてくれるひと せかいでいちばんいとしいひと ありがとう あいしてくれて しあわせになろうね