(21話を見て、その後を妄想してみた。  俺の妄想です!オリキャラとか使ってます。  ※アキさん、当初行儀見習いを見習い→下働きの見習い→メイドと  ひどい勘違いをしてます。それでもおkならどうぞ★) 活動を停止したモルドレッドを発見したのは俺で。 崩れかけた洞窟で倒れていたアーニャを見つけたのも俺だった。 lost ルルーシュの皇帝即位の宣言後、 俺達は待機命令だけが出ていた。 ヴァルトシュタイン卿が陛下の謁見に行って。 俺は一ヶ月以上目が覚めないアーニャの 隣についていた。 彼女は外傷はほとんどなかったのに 何故か一ヶ月も目が覚めなかった。 ラウンズのメンバーに与えられた個室。 アーニャはベッドに横たわっている。 時々医師が来て様子を見る事になっていた。 俺は今日も空が晴れていたので 窓をあけて風を入れた。 桃色の髪は揺れるのに、彼女は目覚めない。 ゆっくり頬を撫ぜれば。 少しだけ、ほんの少しだけ 瞼が動いた。 「あ、アーニャ!!!?」 医師を呼ばなくちゃいけないなんていう気持ちは消えていた。 俺はアーニャを目覚めさせることに必死で・・。 「アーニャ!起きるんだ!!アーニャッ!!!」 やがてぼんやりとしたあの紅い瞳が俺の方を向いた。 俺は嬉しくて嬉しくて、あの小さい身体を抱き締めた。 「アーニャ!よかった!!ほんとによかった!!!  目が覚めなかったらどうしようかと・・」 次の瞬間、俺は小さな体が震えだしたのを感じた。 「アー・・ニャ・・・?」 小さな体が震えて、信じられないような瞳で、 怯えた瞳で俺を見た。 細い腕が必死に逃げようと俺の胸を押している。 そして、震えた唇が紡いだ言葉は。 「・・・だ・・・れ・・・?」 「な・・・なに言ってるんだよ、俺だよ・・、アーニャ・・  ジノだよ・・?」 「ここ・・どこ・・・?」 「アーニャ・・?何言ってるんだ、ここはお前の部屋じゃないか・・?」 「違う・・ここは・・私の部屋じゃない・・・・です・・」 俺はその瞳に信じられなくて肩を掴んだ。 「アーニャ!!お前の名前は!!?」 「・・アーニャ・・アール・・ストレイム・・」 「・・・じゃあ、俺の名前は・・?」 「・・・・・・・わ・・から・・ない・・・しらない・・」 「あ・・なた・・・だれ・・・?こわい・・・」 ぽとりと涙が落ちた瞬間にドアが開いた。 振り返れば、三人の男。 ヴァルトシュタイン卿と・・ 「スザク・・・それに・・ルルーシュ・・・いや  ・・・皇帝陛下・・・」 「・・・る・・るーしゅ・・?」 アーニャがぽつりと呟いて彼を見つめた。 俺は信じられないように彼女を見た。 「・・・ルルーシュ・・殿下・・?」 「アーニャ・・・君・・もしかして・・」 スザクが驚いたようにアーニャを見た。 アーニャはまた怯えたようにスザクを見て、 そしてベッドから降りた。 ルルーシュをじっと見つめる・・。 「本当にルルーシュ殿下・・・なのですか・・・?」 「・・・ああ・・・そうだよ」 「でも・・ルルーシュ殿下は・・わたしより3つ年上で・・  ナナリー様は・・私と同じ年で・・・。  ああ、ルルーシュ様!私は下働きの見習いのアーニャです。  先日、マリアンヌ様に御雇して頂いて・・・え・・・  今日は・・何日・・・?今日は何曜日・・?  どうして・・?ルルーシュ様、ここはどこですか?  どうして、私、御屋敷の部屋にいないんでしょうか・・?  もうお昼なのに・・・執事頭のガリアさんに怒られてしまいます・・!!!」 アーニャが何を言っているのかさっぱりだった。 何を言っているのか。 だが、スザクとルルーシュは何かがわかったようだった。 ルルーシュはアーニャに近づいて、そっと手を取った。 「アーニャ、君はずっと眠ってたんだ」 「へ・・?」 「君が何年も眠っている間に、母さんは死んで・・ナナリーも死んだんだ。  俺は皇帝になったんだ」 「え・・・え・・嘘・・・マリ・・・アンヌ様・・・。  あ・・わ・・たし・・・見たの・・マリアンヌ様が・・!  知らない男の子に・・・撃たれて・・それで・・」 「・・知ってるよ、アーニャ。君は悪くない」 取り乱して涙を零し、頬に手を当てるアーニャにそっとルルーシュは言う。 その間にスザクが俺を引っ張って退室させた。 「・・・スザク・・どういうことだ」 「・・・アーニャは完全に記憶を無くしている。  ギアスにかかっている間の記憶を・・」 「ギアス・・・?なんだよ・・それ・・」 「・・・・ヴァルトシュタイン卿にでも聞いてくれ・・。  ともかくアーニャは今完全にギアスをかけられる前の  ルルーシュの家に仕えていた下働きの時の記憶まで遡ってるんだ」 「・・・アーニャ・・は記憶を無くしていたはずじゃ・・」 「・・記憶をずっと消されてたんだよ・・」 「じゃあ・・アーニャは・・・ラウンズであったことも・・全部・・」 「ああ・・忘れてる・・僕のことも・・君のことも・・・全部・・全部・・・」 「・・・ふざけるなッ!!!!!!!!!」 俺は叫んでいた。 「嘘だろ!!?アーニャが記憶を失うなんて!!!」 「嘘じゃないよ・・ジノ・・・これは・・」 「・・・お前と・・ルルーシュは・・いったい何を企んでいるんだよ・・・」 「・・・・・・」 スザクは辛そうに一瞬顔をしかめて、部屋に戻った。 俺も納得がいかないがとりあえず戻った。 アーニャの部屋ではアーニャがルルーシュと楽しそうに話していた。 「ルルーシュ殿下の下で・・働いていいのですか!!?」 「ああ・・君の働きに期待してるよ、アーニャ」 「有難う御座います・・・!  私・・・孤児院の皆のために・・お金がいるんです。  いっぱいいっぱい働いて・・皆に学校に行ってほしいの!  私・・頑張ります!皇帝陛下の下で一生懸命働きます・・。  まだお皿洗う時に時々割っちゃうけど・・・」 「・・有難う、アーニャ・・ああ、アーニャ。紹介するよ」 「私の騎士にして、ナイトオブゼロのスザクだ」 「・・・よろしく、アーニャ」 スザクは苦笑して手を差し出した。 アーニャは驚いたようにベッドから出てきて、 お辞儀をして、手を取って握手した。 「ルルーシュ様の騎士様なのに・・先程はわからなくて  挨拶が遅れてしまって申し訳御座いませんでした。  ヴィ家のメイド、アーニャ・アールストレイムです」 「アーニャ」 そしてルルーシュは俺を指した。 「帝国最強の騎士、ナイトオブラウンズのスリー、  ジノ・ヴァインベルグだ」 アーニャはあの紅い瞳で俺をじっと見つめて そして・・。 「・・・アーニャ・・アールストレムです・・。  先程は・・わからなかったので・・失礼な事して申し訳御座いませんでした。  ・・まさか・・ナイトオブラウンズの方だったなんて・・・あの・・その・・」 俺は堪えられなくて、部屋を飛びだした。 自室に戻って、信じたくない事実に壁を殴った。 アーニャはナイトオブシックスの座を返上し、 ルルーシュの元でメイドとして働きだした。 最初、他のラウンズはアーニャの突然の返上に 驚いていた。 だがアーニャが記憶を失って、ルルーシュの元で働いていることを 知っているのは、ラウンズで 俺とスザクとヴァルトシュタイン卿だけだった。 ある日皇帝陛下に謁見しなければならなくて、 宮殿へ向かった。 だが、謁見の順番で少し時間がかかるため、客間に入れられた。 ソファーに座っていれば、メイドが紅茶と茶菓子を運んできた。 「ああ、ありがとう・・」 そう言ってメイドを見れば。 「あ・・」 「あ・・・えっと・・ヴァインベルグ卿・・こんにちわ」 長いスカートの裾を掴んで少し持ち上げて上品にお辞儀をしたのは アーニャだった。 「あ・・ああ・・こんにちわ・・」 「え・・あの・・・先日は本当にすいませんでした。  ヴァインベルグ卿に・・あんな酷い態度をとって・・。  気分を害されてしまったのも無理ないですよね・・。  本当にすいませんでした」 ぺこりとお辞儀をして、泣きそうな声で謝るアーニャ。 知らない・・こんな・・彼女・・・。 苦しくて・・でも・・・。 「・・いいんだ・・。私もあんなことしちゃってさ・・。  ごめんな?」 「そそそんな!謝らないでください!悪いのは私だから!!」 無理して笑えば・・彼女は慌てた。 こんなにころころ表情を変える彼女を見たのは初めてだった。 「じゃあ・・・さ」 「は・・・はい・・」 「今・・話せる?」 「今ですか・・・?」 「少しだけ・・、ね・・?私が陛下に呼ばれるまで」 「は・・・・はぁ・・私なんかで宜しければ・・」 「じゃあここへどうぞ」 「し、失礼します・・・」 俺はソファーの隣を指さしてアーニャを座らせた。 アーニャは緊張しているのか落ち着かない。 「アーニャ」 「は、はい!」 「・・・・ここでの仕事はどう?」 「は、はい・・陛下も・・他の皆さんも優しくて・・。  騎士のスザクさんも私にすごく優しいし・・。  すごく・・・幸せです・・」 「・・・そっか・・・」 「あ・・あの・・ヴァインベルグ卿・・・」 俺は気に入らなかった。 それが。 「なぁ、アーニャ・・」 「はい・・」 「二人で話してる時はさ、『ジノ』って呼んで?敬語もなし!」 「め、滅相もありません!私はただのメイドで・・。  ラウンズの方にそんな・・・」 「・・私が呼んでほしいんだ・・」 「・・・・・」 「駄目・・かな・・?」 紅い震える瞳を見つめながら問えば彼女は少し考えて。 「あの・・・本当に・・よろしいのですか・・?」 「うん・・ほら、呼んで!な?」 微笑めば、彼女は少し・・恥ずかしそうにはにかんで・・。 「うん・・・・・・、・・・ジノ・・・」 時間が戻ったと思った。 あの日に。 苦しくて、胸が鷲掴みにされたように苦しくて。 気づけば彼女を掻き抱いていた。 「あ、あの・・・・」 「ごめん・・ごめん・・・アーニャ・・もう少しだけ・・・  少しでいいから・・・こうさせて・・・・」 ぎゅっと抱き締めれば折れそうな身体・・・。 ああ、アーニャの匂いだ。 いつも俺に 『重い』 とか言って怒るアーニャの匂いだ・・。 アーニャ・・アーニャ・・。 「・・ジ・・ノ・・・・」 「ん・・・?」 「・・わ・・たしね・・・ほんとは・・・ねむ・・・ってたんじゃ・・ないよね」 「え・・・」 「携帯にね・・全部・・・書いてあったの・・・日記に・・」 「・・・アーニャ・・・」 「私は・・ナイトオブシックスだったんだよね・・・?」 「・・・・・アーニャ・・記憶が・・・!!?」 彼女の肩を掴んだ俺は彼女の顔を見た。 でも彼女は悲しそうに首をふった。 「・・記録を読んだ・・だけ・・記憶はないの・・」 「・・・・」 「わ・・たしね・・いっぱい記録を読んだの・・・」 「写真もいっぱい見たの」 「貴方の楽しそうな写真がいっぱいあって」 「日記にはいっぱい貴方のこと書いてあったの」 「わたしね・・あなたのこと・・・すき・・・だったんだね・・・きっと・・・」 「・・・ごめんね・・ごめんなさい・・・」 「ぜんぶ・・・わすれて・・・ごめんね・・・?・・・・ジノ・・」 大粒の涙が零れてくる。 彼女をもう一度抱き締めた。 「アーニャ・・・俺も・・・だいすき・・・愛してる・・・」 「・・・・・」 「ごめん・・ごめん・・すきだ・・すきなんだ・・・ずっと・・・ずっと」 ゆっくりと見つめ合えば彼女は了承したように瞳を閉じた。 震えた唇に自分のを重ねた。 悲しいくらい涙の味がした。 神様、どうして貴方はこんなに意地悪なんだろうか。