※十五歳以上推奨

































かみさまはどうしてこのこういに

“いたみ”と“かいらく”をもうけたのでしょうか









































lust











































やんわりとベッドに押し倒されて、も一度深く深く。

溶けていくようなキス。



指先から

唇から

髪の先から



溶解していく私。




頬が熱い。

息が苦しくなってくる。



ただ唇を合わせているだけで

ただ舌を絡めているだけなのに




ぎゅっと左手でジノの服を摘まんだ。

頬に触れるのと反対の手が髪を撫ぜる。



少しだけ、落ちつけて。

だから



ほんの少しだけ目を開けた。







閉じられた蒼と長い睫毛と整った顔と





もう一度目を閉じた。

ああなんで目を開けたのかと後悔した。

心臓が出てきそう。

ほろりと涙が零れた。





暫くしてゆっくり唇が離れていった。

同時に視界をゆっくり開けていく。










知らない顔のジノがいた。












なんでこんなに切羽詰まったような顔をしているのだろう。







わたしとそういうことをするの、ほんとうはいやなのかな













「アーニャ」

「・・・なに・・」

「ごめん・・加減きかない・・・」

「・・・?」










肩口に顔が降りてくる。

見えないそこに一瞬火花のような痛み。

なんかいもなんかいも。


長い指先が私の寝巻きのボタンに触れて、

外されていく。

恥ずかしくなってきて、

瞼をしっかり閉じる。

皮膚に感じる唇からの熱とじんわり広がる痛みと。


頬に血液が集まる。

熱い


あつい







アツイ



唇が首筋に触れる。

鎖骨をなぞる。



長い武骨な手が下着を脱がしていくのがわかる。

ころりと傾けられて、ホックを外された瞬間

涙が零れた。








「アーニャ」

「・・・・」







耳元に吐息がかかる。

裸の上半身が、彼の腕に埋まっている。









あつい

とける

なにもかんがえたくない




こわい はずかしい すき あいしてる

きらい うそ なきたい みないで みつめて




わかんないわかんない








「・・目・・開けて」

「・・いや」

「大丈夫だから」

「・・いや」






腕が強くなったのなんか知らない。

知りたくない。





みないで、こんなからだ








「どうして」

「いやなの」

「どうしたらさ、アーニャ」













「俺の事見てくれる?」













「・・・ぇ」













見られる事ばかり気にしていた。

だからその言葉は少し驚いて。





おそるおそるひらかれるまぶた。







彼の肩に顔を乗せていて、

逆に彼の顔が見えない。













「ジノ」













呟く 名前

離れていく 体温

揺れる蒼 潤んだ紅












「やっと見たな」











少し笑って、大きな手が私の髪をぐしゃりと撫でる。

いつもみたいで いつもとちがう








「大丈夫だから」






優しい言葉にいつも救われる。

きっと知らないだろうけど。



金色が私の裸の胸元に埋まる。

背中に腕がまわされる。







「アーニャ・・いい匂い」

「・・・お風呂入ったばかりだったから」







いつものように無関心を装った声をつくっても

震えてしまう、唇が。

なんだか恥ずかしくて金髪を撫ぜる。




暫くそうしていたら、生温かい感触が胸を掠めた。

ビクリと震えて、彼を見ると

彼の舌が私の胸を掠めていた。









「やだ」

「だめ」








逃げられないように抱きしめられていて

私はもう一度目を瞑った。

生温かいソレがさっきは自分のと絡まっていたかと思うと

はずかしくてとけてしまいそう

じわりじわりとあたまがぼーっとして

じくじくとうずく、かはんしん








「・・ぅ・・ぁ・・ん・・」

「我慢しなくていいから、アーニャ」









胸元からきこえる、低い声にも

自分の唇から零れる、自分じゃないくらいの甘い高い声にも

びくびくカラダが震えだす。

なんだかほんとうにへん








腰を抱いていた片方の掌の体温が離れていって

少し不安になって

目を少し開けた

その指は彼のシャツのボタンを一つずつ外していて

ぼんやりと動かない頭でそれを見ていると、

やがて開けられた前から整ったカラダが見えた。

別に見たことがなかったわけじゃない。

スザクより大きくて、筋肉のついたカラダ。

恥ずかしくなって視線をそらすと

彼はシャツを脱いで、それをあたしの肩にかけた。







「これでちょっとは恥ずかしくないだろ?」






いつもみたいに笑って。

ああ、そのあったかいおひさまみたいなえがおがすきなの






ぜったいにいわないけれど
















それから下を脱がされて

真っ赤な顔で目を瞑って

彼の肩に腕をまわした。





耳元で私の名前を呼ぶ彼の

熱くて優しくて低い声と

彼の指先のせいで

下半身から聞こえる水音と

わけがわからないわたしの声と






ぜんぶまざっていく


























「ぅぁ・・ん、ゃぁっ」



ぼろぼろと涙をこぼしながら

意識が一瞬途切れる。

汗ばむ全身 だるいカラダ

暫く荒げた息を整えて。

重たい瞼をゆっくり開くと

ジノが上にいた。





「アーニャ」




















「ちょうだい」
































どうして そんなかおするの?

どうして そんなこときくの?

ゆるされたいつみびとみたいね

いいの ぜんぶ いいの

あなたのかこのひとなんてもういいの

そのあおにいまもこれからもあかだけうつして



だから いいの



だからわらって




























震える熱を帯びた腕を伸ばした。

肩にもう一度まわす。

疲れた腕に力を入れて。








































「ぜんぶあげる ぜんぶ」














「だいすき」


































わらえないの

でもがんばったから


わらえてた?

わらえてなかった・・・?




どうしてそんなおどろいているの

でももういいの











そんなにいとしそうにみつめないで









































「愛してる」









































聞き慣れていない言葉が鼓膜を震わせた瞬間に

激痛が走る。

口から漏れる嗚咽。

思わず唇を噛みしめた。

零れる涙 滴る汗

ぼんやり映る瞳から

苦しそうに寄った眉間が見えた

視線が重なる。








「唇、噛んじゃだめだろっ・・・

 ほら、俺の肩、噛んでいいから」






荒い息でそう言われて、こくりと頷いて

大きな肩に噛みついた。



暫くして、動きが止まって

ぎゅっと抱きしめられた。

痛みが引いていく。

じくりと疼き出す、私。

どくりと脈打つ、彼。




とけてまざって

ふたつがひとつ




大きな掌が私の腰を掴んで

そこからもういしきがあまりない















ぼんやりとしたいしきで

こえをあげて

なみだをこぼして

かれのなまえだけをよぶ

かれのこえはわたしのなまえだけをよぶ



かいらくにおぼれる

ふたり

ふたつのひとつ























あかとあおがまざったら

ああ、そう

むらさきいろになるんだ

よくぼうのいろでしょ?
























かみさまはどうしてこのこういに

“いたみ”と“かいらく”をもうけたのかしら

それはなにかのだいしょうなのかしら




















そんなことばかりかんがえてて




























ぜんぶおわったときかれはいったの

ちょうどいしきがおちるすんぜんに

つぶやいたのがきこえた




「愛してるなんて言ったの初めてだ」





























あなたのはじめてをもらえたことが

ほんとうはすごくうれしくて

あなたもこんなきもちなのかしら







つないだてをもういちどにぎった







































あいしてる はじめてのあなた