(微エロ) 糸で縛らないで 愛を囁かないで marionnette 「アーニャ」 ね さっきまで 待機室のソファーでスザクと笑ってたくせに どうしてその欲情した瞳で私を見つめるの? 部屋においでよと言われて。 ねぇ おいしいクッキーってどこ? 入った瞬間にドアに押し付けるなんて紳士じゃない。 いきなり唇を奪われる。 いきなり上着を脱がされる。 いきなりインナーの前を肌蹴させる。 貴方はいつもいきなりで。 貴方はいつもいきなりで。 貴方のテリトリーに入った瞬間に 縛られる。 真っ赤な真っ赤な糸が 私の手足の自由を奪うの。 さっきまではおんなじたちいちだったのに もうわたしはあなたのした 唇を奪われた瞬間に私はただの アーニャになってしまう ただの女になってしまう 彼にきっと奪われる 強がりも 無表情を演じるくせも アールストレイム卿を演じる私も 口付けは魔法 私はきっと魔法にかかって 赤い糸に吊られたマリオネット もう動けない 熱い舌が鎖骨を沿って 吸いついた唇に嬌声が漏れる。 紅いキスマークは所有印ね。 印を付けなくても 私を縛られるのは 貴方だけなのに 独占欲が強いの?ご主人様 縛った糸のほどき方を知ってるのは 縛った貴方だけなのに どこかにいけるわけがない 私はこの糸の解き方をしらないのだから 糸が絡まって 絡まって カラマッテ 腰の砕けた私をベッドに運ぶ。 フェミニストを気取らないで。 情欲の籠った瞳が嘘だっていってる。 「アーニャ」 ベッドに押し倒されて ああ、騙された。 低い熱っぽい声で囁かないで。 前髪を邪魔そうにかき上げないで。 この人形に これ以上愛を教えないで 糸の絡まった腕で抵抗したいのに。 ね  どうして この腕はどうして貴方の背中にまわるの? この足は貴方のために開いているの? この唇は貴方の名前を呼ぶの? この瞳は蒼色だけ映すの? この身体は熱を帯びるの? これも全部貴方があたしに絡めた 紅い糸のせいですか? その大きな手には透明な私という人形の コントローラーが握られているんでしょ? 嘯くプラトニックは一瞬だった。 キスはいつからベッドの行為の前触れに変わったの? でもいいよね? 繋げないとわからないことだって いっぱいあるもの あなたのたいおんとか あなたのみけんのしわとか あなたがいとしそうにわたしをよぶこえとか 全部全部記憶に飽和していくなんてもったいないわ 記憶より記録したいのに でも携帯のデータフォルダにこんなのおさめたくないの 私は夜だけ貴方に操られるマリオネット 纏う衣装は純白のシーツだけ 貴方の名前と言葉にならない喘ぎを貴方に囁きます。 アーニャと言う名のマリオネット。 「アーニャッ・・・・」 潤んだ瞳から見える貴方はとても綺麗ね。 きらきらした髪に指を絡めるのが好きなの。 解けた三つ編みはまた編んであげるから 今は私という蜜を 貴方が私を縛る紅い糸に絡めて 快楽はご褒美? 悦楽は貴方への献上品? 水音と 嬌声と 貴方と私が 瞼の裏側を見つめた瞬間に この糸は切れるの? ううん 切れたのは意識の糸? 荒い息と一緒に見つめられる。 不服そう。 「・・・今日、なんか別の事考えてただろ・・アーニャ」 「・・・・」 「ね・・・っ、なに考えてたの・・・?」 「・・・抜いて」 「言わなきゃやだ」 反抗期のご主人様に反逆 所有印なんてあげないの。 糸から少し解放されたから 彼の鼻先を甘噛み。 「こらっ!」 可愛がるように顎の舌を撫でられる。 「教えないともう一回するよ?子猫ちゃん?」 「・・誰が」 「さっきまで俺の下でにゃんにゃん言ってたくせに」 「・・・・・引っ掻かれたい?」 「もう背中なら引っ掻かれたけど?」 離れないご主人様に溜息を。 「・・・ジノ」 「・・・・ん?」 「私、ジノの下じゃただの女になっちゃう」 「でも」 「それでいいって思ってる」 「それが幸せで」 「それが気持ちいいって」 「もっとジノに縛られたいって」 「・・・私って・・・マゾ・・?」 「いや、それは違うけど」 顔を赤くした彼が私を見つめた。 また唇を一瞬奪われる。 「じゃあさ」 「俺がずっと縛っててあげる」 紅の糸が私を操る。 淫猥に、アイロニーを含みながら。 蒼い瞳の舞台の上で 貴方に愛されるのなら 狂い落ちるまで踊り続けるだけ