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(ただのバカップルです) ちいさくうたえ それはひみつの love song 朝目が覚める。 小さく欠伸をして、伸びをする。 『九時に待機室集合な』 そんな笑顔がすぐ浮かぶ。 時計は八時をさしている。 ちょうどいい。 天気も快晴。 トースターにパンをセットする。 その間に洗顔をして、着替える。 パリッと糊づけされたブラウス。 合わせるのはこないだ買ったばかりのピンクのスカート。 ひらりとまわると膨らむレース。 少し高めのヒール。 軽い音を鳴らしたトースターからトーストを取り出して、 マーマレードとオレンジジュースと。 小さく手を合わせて“頂きます”。 テレビをつければ、ニュース。 政治、戦争、皇族。 だけど、今日はオフだから、仕事の事は忘れるの。 歯を磨いて、鏡の前で一回転。 なんだか変わりたくて。 ほんの少しだけ、前髪を切って。 髪を下ろして。 こないだ買った髪飾りをつけてみた。 マーガレットをモチーフにした髪飾り。 白い花が桃色の髪に映えますよって言われて、 思わず買ってしまった。 あと日頃は絶対にしない御化粧を少しだけ。 ばれないくらいに少しだけ。 最後に、鏡の前でも一度一回転。 鏡に向かって笑ってみる。 笑うのが、苦手だから。 なんだか変になってしまう。 どうして? もやもやした気持ちを秘めて、 ポーチをかけて、 部屋のドアをあけて、鍵を閉める。 日頃は絶対にしないのに、誰もいない廊下で鼻歌。 足取りも軽くて。 だから。 「・・・あれ、アーニャ!?」 スザクに見られた。 「おはよ!アーニャ、なんか今日雰囲気違うね」 「・・おはよ・・・そう?」 「うん。今日は休み?」 こくりと頷く。 同時に一緒に待機室に向かう。 「出かけるの?」 「・・・うん」 「一人?」 「・・・・・ジノと」 「・・え、えええええええ!!!!?」 「・・・スザク、煩い」 「だって、休日だよ!!!?アーニャが休日までジノに付き合うって・・」 「・・・おいしいパスタ奢ってくれるって」 「・・そうなの?」 こっくり頷く。 視線は下。 顔は俯き気味。 だって、今顔を見られたくないから。 だって今すごく頬が熱いから。 「楽しんできてね」 「・・仕事?」 「うん」 「・・・頑張って」 「ありがとう、アーニャ」 そう言って待機室に入ると。 「おはよ、スザク、アーニャ!!!」 「・・・おはよう、ジノ」 「ジノ、おはよう」 「アーニャ、なんか今日は可愛いな!!」 そう言われて、ぐしゃりと髪を撫でられそうになって 逃げる。 「え?」 「・・・今日はダメ」 「なんでー」 「・・ダメったらダメ」 せっかく、いつもより頑張って髪をといたから。 髪飾りが落ちちゃうから。 でもその体温も欲しいと欲張ってしまう。 だけど、我慢。 一番可愛いと言われたい人に可愛いと言われたいから。 「じゃ、スザク頑張れよ」 「ジノもねー!」 「・・・何を」 「・・いろいろ」 スザクと別れて、駐車場へ。 なんだか少し赤いジノの後ろをとてとてついていく。 「ジノ」 「どうした?」 「はやい」 「あ、ごめん」 歩調を合わせてくれるジノの隣を歩く。 今日はそんなに派手な服じゃなくて。 似合ってるよって素直に言えたらいいのに。 柄じゃないって知ってるから。 ただ、黙ってみてるだけ。 「ん、アーニャ?なんかついてる?」 「・・・ううん」 「そうか・・ならいいけど」 駐車場にはジノの車。 真っ赤なオープンカーは名家のご子息の証? 「どーぞ」 助手席のドアを開けてくれるフェミニストっぷりはなんだか変な感じ。 ジノの運転でハイウェイを突っ切る。 そういえばジノが車を運転するのは初めて見る。 「昼飯まで時間あるなー。アーニャ、どっか行きたい?」 視線だけこちらに向ける。 私は首を振った。 「じゃあ、適当に俺が考えるな!」 ジノの適当はなんだか嫌な予感がする。 そんな事を思っていたけれど。 車が止められたのは高級ブランドのブティック街。 連れられたのは一軒のお店。 引っ張って連れて行かれる。 「あ・・」 「これさ、アーニャに似合うだろうなって思ってたんだー」 可愛らしいワンピース。 「着てみろよ」 「・・・え」 「ほーら!」 店員さんに渡されたワンピース。 試着して、カーテンを開けると。 「やっぱ、可愛いな。うん!!購入」 「・・え」 「すいませ――ん!!」 「・・ジノ」 「ん?」 「あたし、別に・・・」 「いや、俺がアーニャに着てほしいから。  あ、金は俺持ちだから。誘ったの俺だし」 「・・そじゃなくて・・」 「あ、すいませ――ん!このワンピースください」 ジノは既に人の話なんか聞いていなかった。 お店を出ると、ジノの肩にはワンピースの入った紙袋。 「そのまま着ればよかったのに〜」 「だって・・・」 「ん?」 「・・・なんでもない」 もったいないなんていえないもの そのまま、二人でブラブラ歩く。 今度はジノの服を見たり、 アクセサリーや小物をみたり。 「な、アーニャ!」 「・・・何」 「お願い!!」 「・・・・?」 「これ、携帯に付けて!!!!」 そう言って渡されたのはさっき見ていたストラップ。 けれど何故お願い・・・? 「俺、青いのつけるから。アーニャは赤いのな!」 そう言いながら、ジノは自分の携帯に同じ色違いで青いストラップを付けている。 あまりに楽しそうなので、拒否するのがめんどくさくて。 「・・・わかった」 「やった!アーニャと御揃いだな」 カシャリとストラップを撮った後、携帯につける。 その後、楽しそうなジノの横で画像をブログにアップする。 暫くして、お目当てのパスタを食べた。 ジノのペペロンチーノがおいしそうで、少し食べた。 そしたら私のカルボナーラが欲しいと言いだすので、 少しわけてあげると。 「な、アーニャ!『あーん』ってして『あーん』って」 「しない」 「え――――。けちー」 そんな恥ずかしい事はできない。 不貞腐れたジノの視線から目をそらす。 「あ」 「・・え」 「クリームついてる」 カルボナーラのクリームがついてるジノの頬っぺた。 クリームを指で取って舐める。 ここのカルボナーラはとてもおいしい。 「・・・ジノ?」 「え、あ、な、何?」 「・・どうしたの?」 「え、別に?」 なんだか少し赤くなったジノがよく分からなくって。 でも少し楽しさが増した気がして。 なんだか、これは。 バ――――――ンッ!!!!!! どこからか大きな爆発音。 外を見ると遠くで大きな火柱が上がっているのが見えた。 店内が急に騒がしくなる。 「・・・なんかあったのか?」 「・・・?」 ピピピピピピ 直後に鳴るジノの携帯。 「はい、あ、スザクか?」 『うん、ジノ今どこ?』 スザクの声が聞こえた。 ジノはスザクに場所を説明する。 『悪いけどさ、シュナイゼル殿下の本国帰還護衛の任についていたんだけど・・。  今奇襲をうけてる』 「黒の騎士団か?」 『・・・多分。』 「どこだ?」 『君たちの上くらい、あ、海沿いだけどさ』 「・・なるほどね」 『で、休日返上で悪いんだけど』 「今から基地に戻るのか?一時間以上かかるぞ」 『君の行きそうな所なんてわかるからね。  念のために二人のナイトメアは  今いる場所の最寄の基地に輸送してもらったから』 「・・お前最初っからいざとなったら俺達使う気だったろ」 『・・・だって、皆出払ってるから』 「はぁ・・せっかくのデートが」 『ごめん!!じゃ、僕先にやってるから。  早く来てね』 「セブン殿一人じゃ無理なのか?」 『どっちみちこれが終わらないと  そこで遊べないんじゃないのか?』 そういってスザクは通信を切った。 確かに、周りは爆音が聞こえる状態だった。 「アーニャ」 「聞こえた」 ジノが残念そうな顔をする。 「今日のアーニャはせっかく可愛いのに・・」 「・・デートだったの?」 「え、違うの?」 「・・・・」 沈黙する。 なんだか急に恥ずかしくなってきたが。 直後に空中からの爆撃音。 「・・・第42部隊基地」 「だよな。最寄の基地。行くか」 こくりと頷いて、外に出た。 私服でまさか他の基地に入るとは思わなかった。 外部警備の軍人がこの赤いスポーツカーを不自然に思って、止められた直後。 「おい、お前らどこの学生・・」 「ちょっと入るねー」 そう言って二人で身分証明を見せると軍人が真っ青になった。 「も、申し訳ありませんでした!!!」 「いや、いいんだけど・・・連絡は受けてるか?」 「はい。このゲートをまっすぐ行けば本部です」 「了解」 適当に車を止めて外に出る。 本部の入口には基地の司令官直々に迎えてくれた。 歩きながら、ジノはその人と話している。 「機体は?」 「到着していますが・・・二体来ているんですが」 「いや、あってるけど」 その人はちらりと私を見た。 「・・・お連れの方ではないんですか?」 「え、そうだけど」 「では、まだこれからもう一人のラウンズの方がいらっしゃるんですか?」 どうも彼は勘違いしているらしい。 「私も・・・ラウンズ」 「え」 私が言うと、その人は固まった。 ジノはニヤリと笑った。 「おいおい、天下のナイトオブシックス様は怖いぜ?  ハドロン砲ぶっ放されたくなかったら、ちゃんとラウンズ扱いしねぇと。  ただでさえ休日つぶされて不機嫌なんだから」 「は・・シックスということは・・アールストレイム卿で」 頷く。 「も、申し訳ありませんでした!!!」 「なんかさっきからそればっかり言われるな・・。  俺達って威厳ねぇのかな、アーニャ」 「・・・」 「はぁ。で、機体は」 「こちらです」 巨大な整備室に納められた、二体のナイトメア。 ・・まさか私服でモルドレッドに乗ることになるなんて。 「アーニャ」 振り向く。 「さっさと終わらして、続き、行こーなっ!!!」 にっと笑って、彼は機体へ向かった。 ピンクのスカートをはためかせて。 髪を靡かせて。 深紅の機体へ。 せっかくの“デート”らしいから。 ジノが発進したのを横目で確認する。 さぁ、戦闘開始だ。 「モルドレッド、機動」 レバーと操縦幹とスイッチと。 嘘みたいな青空と。 「いやぁー、ごめんね、アーニャ」 「いや、俺には」 「あ、ジノもごめんね」 結局奇襲をかけたのは黒の騎士団ではなかったのだが、 数が多く、乗り手もそこそこだったので。 3人でちょうどよかった。 「もうさー、アーニャ不機嫌丸出しだったよね」 「・・・そう?」 「いつも以上にハドロン砲撃ってただろ?」 「・・・・さぁ?」 ナイトメアをどうしようかと思ってた時。 「あ、ジノ、アーニャ」 「ん?なんだ?」 「機体の輸送は言っておくから。  まだ休日は終わってないし、ね」 といっても、もう夕方。 「楽しんでおいでよ」 「・・・サンキュ」 「じゃぁ、また本部で!」 「おう」 ひらひらとスザクに手を振って。 ジノの目立つスポーツカーに乗り込む。 「あー、なんか疲れたな〜」 夕日も沈み、星が煌めく。 車内と言ってもオープンカーなので薄暗い。 「・・・ジノ」 「ん」 「楽しかった、今日」 「そっか!!よかった・・・」 右手を少しだけ伸ばす。 無造作に置かれた大きな左手に。 「ジノ・・」 「ん?」 「・・・・なんでもない」 少しだけ、ほんの少しだけ、近づけて。 でもいえない なにも、かんじんななこと、なにも きもちがいわないでつたわればいいのに ほんとうはうれしくてしんでしまいそうなのに ちかくてとおいきもちはなんなんだろう そのてをにぎることができたらいいのに いきがつまりそう めをつぶりたい しせんをあわせられない とどくのにとどくのに きゅっと握られた温かい体温 恐る恐る視線を横に向けると 大きな左手の小さな右手の指が絡んでる。 ばくばくととまらないこどう むねがはりさけそう ああ わたしはきっと きっと ジノのことが 「すきなの」 「え、えええええええ!!!?あ、アーニャ今なんてちょっとちょ・・」 「・・ジノ、前見て」 「わ、わかってるけど!!!」 右手でハンドルを切っている。 夜のハイウェイ。 繋がれた右手と左手はまだまだ 離れない。 むかしきいたラブソング きっとこれがこいなのかしら よくわからない ただむねがはりさけそうなくらい あなたといっしょにいたいだけ (THANKSみくみくの「メルト」