(「lust」の続き) ゆっくりとめをあけると すごくしあわせなせかいがみえたの good morning kiss カーテンから差し込む光が眩しくて目が覚めた。 ゆっくり瞼を開けると、幸せそうな寝顔。 二人の間に繋がれた手。 朝の匂いと彼の匂い。 思わず笑みが零れた。 日常とか、今日も仕事だとか。 でも 掛けられたシーツから覗く彼の身体に 昨夜の事を思いだして、顔に熱が集まる。 同時に自分の体を見ると、 彼がお風呂に入れてくれたのだろうか。 裸の体には汚れ一つなくて、 彼の大きなシャツを纏って、 ボタンがいくつか止められていた。 ふと時計を見れば、 いつもより早く起きたようだった。 まだ出勤時間までだいぶある。 もうすこしこうしていたいな そう感じもう一度彼の方を向いて、眠ろうとした。 が 二つの蒼がこっちを向いていた。 「おはよう」 「・・・おはよう」 「・・今何時?」 「6時・・前」 「早起きだなぁ・・今日」 そう言いながら大きな腕に抱きしめられる。 彼が大きく欠伸。 彼の匂いがする。 安心する。 「アーニャ」 「・・・ん」 「おはようのキスは?」 「しない」 「えー」 しないと言っているのにそれは意味がないことで 彼が勝手に口付けてきて 軽く 一瞬 ふんわりとした キス あまいふわふわのオムレツみたい 「あ」 「ん?」 「・・・プリン」 「お!いいこと言った、アーニャ!!食べよ!!」 私はこっくり頷くとジノは起き上った。 彼は上は裸だったが、下はちゃんとズボンをはいていて。 筋肉がついた身体を見るのが、なんだか恥ずかしい。 その視線に気づいたのかジノがにやりと笑った。 「アーニャ」 「・・・」 「肩」 「・・ッ!!!!」 意味が分かって思いっきり枕を投げた。 彼は笑いながらそれをキャッチして、 キッチンへ消えた。 大きな肩についた小さな歯型。 ・・・ちゃんと覚えてる。 痛みが辛くて 唇噛むくらいなら噛めって言われて それでそれで フラッシュバックする映像。 聞こえていないのに鼓膜が彼の荒い息を享受している気がする。 鼓動が速くなる。 熱が顔に集まる。 ぶんぶんと頭を振って。 意識を紛らわせて。 彼がいない間に着替えてしまおうと 起き上がる。 腰の痛みさえ、フラッシュバックの要因になってしまう。 大きなシャツを脱ぎ捨てると 「あ・・・」 全身に咲いた真っ赤な痕 彼に愛された痕 なんてことだ。 よく考えれば私の制服の露出は高い。 ・・・どうしよう。 フラッシュバックする脳内を必死に 違う考えに活性化させて。 下着の入った引出しを開ける。 その後すぐ背中を温かさが包んだ。 生身の肌の温かさ。 気配を消すのも、 気配をすぐに察知するのも、 私よりずっと彼の方が上手。 じゃないときっと皇族を守る十二人の騎士の 三番目なんてなれないだろうから。 そう、少し、関心したのに。 「ね、俺、このピンクのレースがいい」 思わず殴ろうかと思ったけれど、 強く抱きしめられていて反転できない。 「・・・やだ」 「ねー、お願いっ」 「・・離して」 「アーニャがそれ着てくれるって言うまで離さない」 強く抱きしめられている腕が徐々に上昇していることに 気づく。 彼の唇が耳元に寄せられて、耳を優しく食む。 私は恥ずかしさとかもう何も考えたくなくて 大きく溜息をついて。 「・・・わかったから、やめて」 「はーい」 指定されたのを取り出して 引出しを閉めた。 振り返って、ジノを睨むと彼は笑っている。 「いや〜、朝からいい眺め」 忘れていたけど・・裸だった。 思わず言葉にならない声が出て、 しゃがみ込んだ。 「見ないで」 「いや」 「・・着替えるの」 「余計見たい」 「変態」 「その変態が好きなんだろ」 その言葉にまた熱くなる。 彼は笑っている。 「アーニャ」 「・・・嫌い」 「ごめんって。こっちおいで」 「いや」 「お願い」 優しく笑われたら、逃げられないこと 知ってるくせに ああ、ずるい ああ、卑怯 ベッドに腰かけた彼の元に行けば 彼の足の間に腰を下ろすよう言われて。 そうすれば、持っていた下着をとられた。 「・・返して」 「はい、手通して」 もう意図していることが分かってしまった。 「・・・自分で着れる」 「俺が着せたいの」 「・・・っ・・」 「ね。お願い」 もう抵抗する事に疲れたので、 されるがままにした。 「アーニャ、髪上げて。  ホック止めれない」 「・・・ッ」 全然わかってない。 すごく恥ずかしいのに。 渋々髪の毛をまとめて持ち上げる。 同時にホックを止められた。 「はい、次、下!」 「・・・」 そのまま着せられて、 もう一度大きなシャツを着せられた。 「・・・ジノ」 「ん?」 「これ」 シャツを指させば 「ん?まだ着てていいからさ。  プリン食べよ」 そう言って、ソファーに連れていかれた。 ・・・ここ、私の部屋。 「・・おいしそう」 「だろ!?これ、すごいおいしいの」 可愛らしいカップに入って 生クリームとさくらんぼが上品にのったプリン。 「・・食べていい?」 「勿論」 プラスチックのスプーンを渡されて 優しい黄色のそれを掬って口に入れる。 一晩冷蔵庫に入れていただけあって とっても冷たい。 「・・おいしい」 「よかった!」 ジノが笑って、頭を撫でた。 暫く二人で食べていたが、ジノが。 「あ、そうだ。アーニャ!」 「・・・?」 「見てて」 口の中にさくらんぼのヘタを放りこんだ。 ・・・食べられないのに。 しかも何故か口をもごもごしている。 「・・・何・・?」 「ん!できた」 そういって、彼が舌を出す。 結ばれたさくらんぼのヘタ。 「・・・ちょっと待って」 「え」 ベッドサイドから携帯をとりだして 記録。 「もういい〜?」 その言葉に頷いた。 「・・・面白かった?」 「・・ちょっと」 「えー!?アレ難しいんだぞ?」 二人で甘いプリンを食べながら こうやってとりとめもない話。 プラスチック容器が空になった頃。 立ち上がった彼に どうしたんだろうと思って そのまま彼に手を引っ張られて 「・・ジノ」 あったかい腕にまた抱きしめられた。 「ね、アーニャ」 「・・・いやじゃなかった?」 何の事を聞いているのかすぐにわかって でもその声はさっきよりずっと真剣で ああ、この人はまだ気にしてるんだ って思って 「・・・いやじゃない」 「・・そっか・・よかった・・」 「・・・ジノは?」 「・・俺?」 「・・いやじゃなかった?・・・わたし」 腕の中から彼を見上げると 愛おしげに見つめられた。 「嫌なわけないだろ」 「こんなに愛しいのに」 肩に手を置いて、 少しだけ背伸びをした。 大きな体を身体を少し屈めてくれた。 プリン味のキス キャラメルソースの苦味が 唇を濡らした。 「・・・おはようのキス」 「・・・アーニャ」 「・・ちゃんと、した・・から」 もう一度強く抱き返された。 ジノの匂い。 男の人の匂い。 安心する・・。 目を閉じる。 ずっと・・こうしてたいな・・・ずっと。 「・・・アーニャ」 「ん・・なに・・ジノ・・」 「・・・おはようのえっちは?」 「それはだめ」