震える真っ赤な瞳を見た瞬間。 信じられないくらい怒りがこみ上げた。 only you その日、待機室へ行くとソファーでジュースを飲みながら アーニャは何かを読んでいた。 だがその表情はなんだか険しい。 「おはよ、アーニャ」 「・・・おはよ、スザク」 「どうしたの?・・手紙?」 そう聞くとアーニャはそれを折りたたんで戻した。 「家族?」 聞けば、首をふる。 「・・あ、ブリタ二アの友達とか?」 また首をふる。 「・・・誰か、わかんない」 「へ?」 「・・・気持ち悪い・・」 そう言って、アーニャは封筒から数枚の写真のようなものを抜き取って それをスザクに渡した。 「え・・見ていいの?」 こくりと頷く。 スザクがその封筒を開けて見ると。 「え・・・ちょっと何これ」 アーニャの写真が何十枚も入っている。 食事をしてる写真。訓練中の写真。 ジノの膝の上でブログを更新しているアーニャの写真。 そして、白い便せんを開けると。 アーニャへ宛てられた恋文。 だが赤で書かれた内容は少し異常である。 「アーニャ・・これどうしたの?」 「・・今朝、部屋の前にあった」 「・・これ絶対ストーカーだよ・・。  これ盗撮写真だよね・・・。  ・・・そっちの写真も?」 アーニャはこくりと頷く。 「・・・部屋での写真・・」 「え・・」 「・・着替えとか・・お風呂も・・」 「ちょっと・・・それ、絶対カメラあるよ!!  調べに行かなきゃ・・、アーニャ」 アーニャはいつも以上に無口で。 瞳が怯えていた。 スザクはアーニャの手を引っ張って、 アーニャの部屋に入っていった。 「・・あった?」 「・・あ、あった・・こんなとこにまで・・」 アーニャの部屋からは大小合わせて10個ほどのカメラが出てきた。 一つ出る度にアーニャはびくりと怯えている。 「多分写真のアングルから考えて、これで全部だと思うけど・・」 「・・・ありがと、スザク」 「あ、僕は別にいいんだけど・・。  誰だよ・・こんなことするヤツ・・」 「・・・・」 「・・とりあえず、今日はなるべく一人でいない方がいいと思うよ」 アーニャは不安げに頷く。 「・・・ラウンズのメンバーがこんなバカな事するわけないし・・。  ・・ここに入れるのは一部の人間なのに・・」 「・・・スザク」 「ん?」 「・・メンテナンス」 「・・え」 時計を見ると、機体の操縦メンテナンスの時間まであと10分しかない。 「うわぁ!!ごめん、アーニャ!!!」 「私も・・行かなきゃ」 「うん。この話はまたあとで!」 こくりと頷いたアーニャを確認して、 スザクは彼女の部屋から飛びだした。 アーニャはその姿を見送った後、 腰のポーチから小銃を取り出した。 そして、ベッド横のサイドボードの引き出しから もう一つ、マガジンを取り出す。 それらをもう一度腰につけて、軽く動作確認。 安全装置でロックすると、部屋から出た。 いつものように操縦訓練で スーツに着替えようとした時、アーニャはふと自分のロッカーの中身に驚いた。 「・・・なに、これ・・」 真っ赤な薔薇の花束。 その中に光る、黒いレンズ。 バンッ!!!! 思いっきりカメラを床に投げつけた。 割れたレンズ、千切れた配線。 今までこんなことなかったのに。 アーニャははっと気づき、スーツを着る。 「・・あれ、アールストレイム卿?」 整備の男が声をかけた。 「訓練予定までまだ一時間もありますが・・」 「・・今から訓練したいの」 「わかりました。すぐリフト下ろします」 操縦席までの移動リフトに乗って、 いつものモルドレッドの操縦席に入る。 何も変わっていない。 ここは大丈夫・・。 そう彼女が思って溜息をついた瞬間・・・。 気づく。 『・・・何これ』 『これ、うちの神社のお守りだよ』 『・・オマモリ?』 『安全第一で仕事ができますようにって、ほら、アーニャ』 『・・・』 『ちゃんと持ってるんだよ』 渡されたお守りをカシャリと撮った後。 呟いた。 『・・モルドレッドの操縦席につけていい?』 『勿論いいよ。ご利益あるよ、きっと』 スザクに貰ったお守りがズタズタに引き裂かれて 足元に転がっているのが見えた。 「・・・なんなのよ」 それを広いあげる震える指先。 ドキドキと早鐘を打つ心臓。 『アールストレイム卿?』 恐怖で通信で呼ばれているのに気づいていなかった。 「・・・はい」 『訓練開始してもいいですか?』 「・・ラジャ」 ブンブンと首をふって、意識を操縦に集中させる。 白の手袋が汗ばむ。 『・・システム、オールクリア』 『射出口、スタンバイオーケー』 『重装甲ナイトメア・・・モルドレッド、発艦』 「モルドレッド、発艦」 腕に力を入れ、レバーを引く。 肩にかかる重い重力。 それはいつもと同じなのに。 明るすぎて綺麗な青空に無性に 四連ハドロン砲をおみまいしたくなった。 「・・・アーニャがぁ?」 「そうなんだよ・・ちょっと落ち込んでるみたいでさ・・」 「・・誰だよ、俺のアーニャにそんなことするヤツ・・」 「いつから『君の』アーニャになったんだい、ジノ」 訓練がほぼ終わった昼休み。 ジノとスザクは待機室で昼食として買ってきたサンドイッチを摘まんでいた。 「・・っていうか」 「・・なんだよ、ジノ」 「・・お前、写真見たんだろ?」 「うん」 「・・まさか、アーニャの裸の写真とか・・」 「見てるわけないだろ!!バスルームのカメラはアーニャが見つけたんだから」 「・・・」 「・・なんだよ」 「・・にしてもアーニャの裸見るなんて重罪だな。  俺だってまだ見てない・・うっ・・」 ジノの頭に小さな拳が激突。 「・・ジノ、変態」 「・・あ、アーニャ、お疲れ」 「アーニャ、サンドイッチいるか?」 「いらない」 殴ったジノの隣にアーニャは腰掛け、 もってきたジュースを飲んでいた。 「・・ねぇ、アーニャ?」 「・・何?」 スザクは口を開く。 「もう変な事なくなった?」 「・・・」 「なんかあったのか!!?」 「・・ジノ、煩い」 隣でキャンキャン騒ぎ出したジノを黙らせ、 アーニャは口を開いた。 「・・ロッカーに・・薔薇の花束とカメラ」 「え・・」 「・・モルドレッドの操縦席につけてたスザクのお守り・・」 アーニャはポケットを探って、ボロボロになったお守りを出した。 「うわぁ・・」 「・・ごめん、スザク」 「いや、いいんだよ・・でも・・まさか操縦席まで・・?」 「・・誰だよ、そんな芸当できる奴・・」 「・・・わかんない・・」 アーニャは俯いて青白くなっている。 ジノは小さくなったアーニャの肩を抱いた。 「アーニャ、俺とスザクで犯人とっ捕まえてやるからさ。  な、スザク!」 「ああ・・・。でもとりあえず今夜は誰かと一緒の方がいいよ・・」 「じゃあ、俺が!」 「・・ジノは逆に変なことしそうだから無しで」 「はぁ!!?俺がいつアーニャに変な事したんだよ」 「いや、君がいつもアーニャにやってることの大部分はセクハラだから」 そう言っている横で携帯をいじりだすアーニャ。 が。 「・・・あ・・・」 「ん、どした?」 画面を見て、固まっている。 「・・なんだよ、これ」 「ここにもかよ・・・」 アーニャが見ていたのは自分のブログ。 コメント欄を開けた瞬間 今この瞬間スザクとジノと喋っているアーニャの写真がアップされてた。 写真のアングルからとられた位置を探すと。 「・・うわ・・あったぞ」 「・・ここにも・・」 黒い小型カメラがコードでぶら下げられていた。 アーニャは完全に真っ青で震えてしまっている。 「・・・今夜」 「ん?」 「・・ジノの部屋で寝る・・」 「え・・アーニャ?」 「・・他の皆はこのこと知らないから」 「・・だけど・・アーニャ」 「何かあったら・・怖い」 「・・そうか。・・ジノ」 「わかってるって・・何もしないって」 ジノが真剣な顔で頷いたのを確認して スザクは話を続けた。 「じゃあ・・とりあえず、誰がこんなことできるか考えようよ・・」 「・・そうだなぁ・・さすがにラウンズはねぇだろ」 「部屋の掃除に来てる人・・」 「んー・・でもそんな人がモルドレッドの中にまで入れるかな?」 「・・・そう考えると整備の奴か?」 「どっちにしろ複数犯じゃないとできなくないか?」 「・・整備と部屋の方と両方ってことか?」 「うん」 ジノの言葉にスザクは頷く。 「・・・不審な奴を見かけたら、目をつけるって事でいいか」 「・・今はそれしかできないよね」 「でも・・これ・・エスカレートするぞ・・」 「ジノ!!!」 「あ・・アーニャ、悪い」 ジノの言葉にビクリと不安を露わにするアーニャ。 「・・この後予定は?  僕は訓練だけど・・。午前中は射撃訓練してたから。  午後からランスロットで訓練」 「俺は、アーニャと仕事。な、アーニャ」 アーニャはこくりと頷く。 「そうか・・なら安心だね。アーニャ」 「・・・」 「え、何、アーニャ。その『やっぱりジノだから頼りないかも』みたいな目」 「・・・テレパシー?」 「やっぱそう思ってるのかよ・・」 「はははは・・、じゃあ僕行くね。夜には戻るんだろ」 「おう、じゃあな」 「うん、またあとで、アーニャ」 「・・うん」 頷いて返事をするとアーニャは携帯に目を向けた。 どうやら先ほどの写真を消去しているらしい。 「アーニャ」 「・・何」 「・・そろそろ行くか、時間だ」 携帯の時計も確かに時間をさしていた。 「さってと、お仕事しましょうかねー」 るんるん気分のジノの後ろを釈然としない気持ちでアーニャはついていった。 仕事は簡単なもので夕方には帰ってくることができた。 仕事中は変な事もなく午後はアーニャも仕事に専念する事ができた。 スザクも訓練が終わり戻ってきていた。 その後、3人で夕食をとって。 それぞれが部屋に戻ろうとしていた。 「じゃあ、おやすみ」 「おう、また明日」 「・・・おやすみ」 スザクが部屋に戻るのを見送って。 「・・ジノ」 「なんだ?」 「・・着替えとってくる」 「・・ああ」 「・・シャワー・・借りるから」 「・・え」 「・・・・ダメ?」 ジノはアーニャの上目遣いにめっぽう弱かった。 「・・いや、いいけど」 「じゃあ、すぐ行くから」 「ああ」 そう言って二人はスザクの部屋の前でわかれた。 アーニャは鍵で部屋に入った。 暗い部屋はやはりなんだか怖い。 パチリと電気をつけた。 ・・誰もいない。 けれど・・怖い。 早く出よう。 そうおもい、カバンに洗顔やシャンプー 下着を入れて、着替えを入れようとクローゼットをあけた瞬間 「え・・・」 ずたずたに引き裂かれた私服。 「どうして」 「君が悪いんだ」 ホルダーに手を伸ばした瞬間には、もう押さえつけられていた。 「・・・あ・・」 「貴方が悪いんです・・アールストレイム卿」 「あなた・・整備の・・・」 彼女を押し倒していたのはモルドレッドの整備担当の軍人。 アーニャはちらりとポーチを見たが、手足を抑え込まれている状態じゃ ホルダーから銃は抜けない。 ラウンズだけあって体術もある程度できるが・・・ 体格が全然違う男に抑え込まれている状況では何もできない。 「離して・・」 「いやだ」 大きな手で両手首を掴まれる。 「誰か・・んん―――ッ!!!!!」 口に押し込まれたハンカチ。 その直後に手首を縛り上げられた。 携帯を鳴らそうと思い、携帯を探せば 運の悪いことにベッドの下に潜りこんでいて届かない。 「ん――ッ!!!!!」 「・・君が悪いんだよ・・あんな男と仲良くするから」 「ん―――――――ッ!!!?」 男は体を固定しながら、アーニャの制服に手をかけた。 「んーッ!!!」 「黙れッ!!!」 男の拳がアーニャの頬を殴る。 唇の端が切れて、血が流れる。 「んっ・・ん――!」 「可愛いねぇ・・君はずっと僕だけのものになっておくれよ・・」 その血を男の舌が舐めとる。 アーニャは恐ろしいほどの身震いを感じた。 きもちわるいきもちわるいきもちわるい たすけてたすけてたすけて 制服を脱がされて、下のショートパンツも下ろされる。 露わになった白い肌に男は息を荒げて口付ける。 白い素肌に浮かぶ赤い刻印。 「ん―――――ッ!!!!!」 ぽろぽろと涙が零れ落ちる。 悪寒と、吐き気。 身震い。 きもちわるいきもちわるい。 下着に手をかけられて、縛られた腕をばたつかせるが意味がない。 剥ぎ取られた下着を見て、胸元に男の唇が寄る。 震えて、目を閉じて。 嘔吐感と絶望が支配する刹那。 「なぁ、お前何やってんの、そこで」 かちゃりと無機質な音と共にアーニャが目を開くと 「・・・何してるかって聞いてんだよ!!!!!!!」 今にも引き金を引きそうなくらい本気でキレているジノがいた。 次の瞬間後ろに控えていたのかスザクが男の頭を銃で殴ると男は失神した。 「アーニャッ!!!!!」 ジノはすぐに駆け寄って、きつく抱きしめた。 そのまま上着をアーニャにかける。 「大丈夫・・じゃねぇよな・・」 いつもは無関心で冷たいイメージがあるアーニャが ブルブルと震えて泣いていた。 「・・・ジノ」 「なんだ」 「コイツを連れていくから・・アーニャを頼むよ」 「ああ」 スザクは失神した男を引きずりながら、出ていった。 それは5分前にさかのぼる。 ジノは部屋で暫くアーニャを待っていたのだが、 なかなか来ない。 『・・アーニャが来ない?』 『ああ・・なんかヤバいんじゃねぇ?』 『そうだね・・・早く行こう』 『ああ』 スザクの部屋に行って、念をいれてスザクにも来てもらい 二人でアーニャの部屋に行った。 そして彼女の部屋のドアの前で聞いたのは。 『ん――――ッ!!!』 次の瞬間ジノはすぐに部屋に飛びこんでいた。 そしてそこで見た光景は アーニャが見知らぬ男に半裸にされて 襲われている瞬間だった。 あの震える紅い瞳を見た瞬間 襲う男を殺したくてたまらなくなった。 気づけば、ジノは男の後頭部に銃口を押しつけていた。 で、今に至るというわけだ。 スザクがいなくなってから、ジノはどうしていいかわからず アーニャを抱きしめていた。 アーニャはジノの服を掴んでずっと離さなかった。 暫くして、ジノが口を開いた。 「・・・アーニャ」 ビクリと小さな体が震える。 「・・そのさ・・一応確認しとかなきゃいけねぇからさ」 「・・その・・・・」 「・・・最後までは・・・されて・・ない・・よな・・・?」 ピンク色の頭がこっくりと頷かれた。 とりあえずジノは溜息をついてもう一度強く抱きしめる。 「・・・ごめん・・すぐ来なくて・・・」 アーニャは首を振った。 その表情は見えない。 「・・・そのさ・・、ここにいちゃなんだし・・」 「・・俺の部屋行くか?」 アーニャは2回こくこくと頷いた。 アーニャをバスルームにいれると ジノはアーニャが着れそうな服を適当に探し出した。 シャツとタオルを1枚ずつ出して。 「アーニャ」 バスルームの外からアーニャを呼んだ。 カーテンごしにアーニャの体の影が浮かぶ。 「着替えとタオル、ここ置いて置くからな」 「・・・・・・うん」 小さく掠れた声が水音の合間に聞こえた。 内線でスザクから連絡が入った。 先ほどの男はとりあえず留置所にぶち込まれたらしい。 今後のセキュリティも強化されるようだ。 受話器を置いたと同時に、服の裾を掴まれた。 振り向くと。 『ああ・・・そりゃ襲いたくなるよ』 髪から滴をぽたぽた落としながら、 ジノのシャツをきたアーニャ。 ほっそりとした足がいつものショートパンツ以上に映える。 「・・・ジノ」 「あっ、ああ、何?」 「・・・お水」 「・・・あ、ああ」 冷えた水を出すとこくこくと飲み干した。 「アーニャ」 「・・・?」 「髪、拭いてやるからこっちこい」 ソファーに座って、アーニャを膝に乗せて 桃色の髪を優しく拭く。 アーニャは何も言わず、俯いてシャツの裾を握りしめている。 「・・・終わった」 そういうとアーニャは俯いていた顔を上げた。 可愛らしい紅の瞳が潤んでいた。 「・・・アーニャ」 「・・・消毒しよっか」 「・・・・怪我・・してない・・」 「でも汚れたから」 襟元から出るアーニャのほっそりした首。 そこについた真っ赤な鬱血。 「・・ジノ?」 ジノはその上からきつく吸いついた。 思わず、アーニャの瞼がぎゅっと閉じられる。 唇を離して、ゆっくりと開かれた紅い潤んだ瞳を見つめた。 「・・・いや?」 「・・・・」 暫く俯いて、少しだけ頬を朱に染めてアーニャは頭をふった。 それを確認して、ゆっくりと次は鎖骨の鬱血に吸いつく。 次は耳の後ろ・・・左の二の腕・・・右手首・・そして。 いくつかボタンを外されて、胸元を開けられた。 「・・・いい?」 こっくりと潤んだ瞳に頷かれる。 紅い印をより一層強く吸われた。 「・・んぁ・・ぃた・・」 「・・ん・・ごめん・・・」 「・・・ジノ」 「どうした?」 「手・・」 きゅっと指を絡められる。 強く・・握り返す。 「・・・こわかった」 「・・ごめんな」 アーニャは頭をぶんぶんとふる。 「・・ジノは悪くない・・・」 そっと、絡めた指を解くと アーニャは怪訝な顔で首を傾げた。 「・・・ボタン、な。とめないと」 アーニャに着せたシャツのボタンをとめていく。 「・・このままじゃ、俺がお前襲っちまうからな・・」 冗談半分本気半分で言う。 自分に対する戒めも含んでいるが。 「・・・ジノならよかったのに」 「へ・・」 一瞬意味が分からずに間抜けな声が出た。 「・・そしたら、きっと怖くなかった」 「・・・お前、そういうこと言っちゃだめだって・・」 「・・どうして?」 「どうしてって・・・」 『・・本気で襲いたくなるって・・』 脱力して、小さな体を抱きあげてベッドに下ろした。 「・・もう寝ような、アーニャ」 「・・・でも」 「ん」 「・・・ジノが助けてくれてよかった」 「・・・裸見られたけど」 「・・・おやすみ」 「ああ、おやすみ」 「・・ジノはどこで寝るの?」 「ん?ソファー」 「・・・ここにいて」 「・・怖い?」 こくりと頷いた視線は見えなくて。 「ん・・戸じまりしたらすぐ戻る」 「・・わかった」 「・・明日・・・仕事は」 「出れる」 「大丈夫か?」 「・・・もう大丈夫・・・」 「そっか」 「それに・・ジノがいるから」 「・・おう」 桃色に埋まり 甘い花の香に誘われて 眠りつく 彼は知らない。 『彼が』彼女を助けた事に意味があること。 無自覚な恋心は次第に拡大していくことをまだ二人は知らない。 (おまけ) 就寝前 「・・・ジノ、遅い」 「あー、ごめん」 「・・手濡れてる?」 「・・トイレ行ってた」 「・・長かった・・お腹痛いの?」 「いや、そのね、うん、その、そんな感じ」 ウチのサイトのジノはむっつり変態です