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それはある日の午後の話で。 little reward 「はぁ・・・」 誰もいない部屋で溜息をつく。 終わらない・・・。 どうしても今日中に仕上げないといけない書類が 終わらない・・・・。 白い紙に綴られたアルファベット。 もう見るのもあきあきだ。 コーヒーでも淹れよう。 そう思って立ち上がると。 コンコン 「は――い」 ノックされた扉。 そこから入ってきたのは。 「・・・」 「あれ、アーニャ?  お前今日休みじゃ・・・」 「・・・ジノ煩い」 「・・はいはい」 「・・コーヒー」 「お!気が利く。サンキュー」 今日は休みだったアーニャが私服で入ってきた。 お盆にコーヒーとクッキーの皿が乗ってる。 アーニャはカップと皿を俺の机に置くと、 じーっと俺の顔を見てきた。 「・・・え?なんかついてる?」 カシャ 「・・・は?」 アーニャが携帯で俺の顔を撮った。 「・・眼鏡」 「・・ああ!」 デスクワークのせいか、趣味の読書のせいか。 知らないが、数年前から視力が落ちている。 日頃はコンタクトを入れているが、 デスクワークがメインの日は基本的に眼鏡だ。 「目、悪いの?」 「あー、いつもはコンタクトしてるんだけどな。  今日はデスクワークだし、いっかーって」 「・・ふーん」 「あ、コーヒー貰うな?」 「うん」 椅子に座ってアーニャの淹れてくれたコーヒーを頂く。 ああ、きっとキリマンジャロだ。 舌にのる苦味が心地いい。 まぁ、アーニャが入れてくれたから美味いっていうのもあるし。 ああ、アーニャが俺の専属メイドだったらいいのに。 そしたら、毎日アーニャが起こしてくれて、 アーニャがコーヒー入れてくれて・・・ メイド服で・・・。 と妄想が拡大しようとした時、膝の上の違和感に気づいた。 「アーニャ!!?」 アーニャが俺の膝の上にちょこんと乗って、 顔が近づいてくる。 キスでもされるのかと期待したが、そんなわけはなく。 黒縁の眼鏡を外された。 アーニャの顔が少しぼやける。 眼鏡を少し弄んだ後、 アーニャはそれをかける。 「・・・なんか変」 「アーニャ、目が悪くなるぞ」 「・・似合う?」 「うん、可愛い」 満足したのか眼鏡を俺にかけてくれた。 「ジノ、眼鏡似合わない」 「そうか?」 「うん」 「・・なんで?」 「頭よさそうに見える。詐欺」 「お前、さらっとひどいね」 むにっと柔らかいほっぺを摘むと 「やめて」 拒否される。 代わりに、いつもと違って下ろされた髪を 手櫛で優しく解く。 柔らかい桃色の髪が指の間をすり抜けていく。 「今日は休みだったんだろ?」 「・・・買い物行った」 「何買った?」 「新しい服」 「後で着て見せて」 一瞬めんどくさそうな顔をしつつも、アーニャは頷いた。 「・・で、帰ってきたの?」 「・・雨」 「ああ」 昼から雨という予報は当たったらしく。 外は今も雨が降っている。 「・・クッキー」 「ああ、それ?」 頷いて。 「お土産」 「マジで?サンキュー、アーニャ」 ぐしゃりと頭を撫でて。 「・・・頑張れる?」 「ん?」 「・・書類」 「あ・・」 一気に現実に引き戻される。 「・・・戻ってきたら」 「え?」 「スザクがジノのとこ行って励ましてって」 「はは・・」 「・・・元気出た?」 「おー!頑張る」 アーニャはそれを聞くとするりと俺の膝から降りた。 「・・・それだけ?」 「?」 視線を逸らして、アーニャは呟いた。 「・・仕事」 「ああ・・今日はこれで上がり」 「・・・じゃ・・一時間・・」 「ん?」 「晩御飯」 「え・・?」 「あと一時間で終わったら、一緒に」 「・・・ほんとに!!?」 「・・・・・ジノのおごりで」 「え、アーニャと二人きりでメシ!!?俺頑張るから」 「・・・じゃ」 「忘れんなよ!!俺絶対終わらせるから!!!」 俯いたまま部屋を出ていく後ろ姿を見た直後に 俺は書類と格闘を始めた。 が。 あの書類はすぐ終わったのだが、追加の書類を持ってこられた。 結局上がれたのは、あれから2時間後の七時。 ・・・あのアーニャがあんな事を言うのは1年にあるかないかの世界だ。 溜息をつき、落ち込みながらラウンズの待機室に行くと。 「アーニャ、その服可愛いね」 「・・・ありがと」 「今日買ったの?」 こくりと頷いて。 スザクと話している、アーニャ。 「あれ、ジノ。おつかれ」 「あ、ああ」 スザクに話しかけられ、アーニャもこっちを向く。 そして寄ってくる。 「あ・・のさ、アーニャ。ごめん・・。  追加書類で・・その・・・」 「・・・お腹すいた」 「へ?」 「・・・フレンチのフルコース」 「え・・」 「・・待たせたのに、文句あるの」 てっきりアーニャの事だから待たずに 誰かと食べに行ったのかと思っていた。 「・・・待っててくれた?」 「・・・・」 「・・あああああ、もう、ありがとうアーニャ!!!」 「ジノ、重い、ウザい」 勢いでアーニャに抱きついて。 嫌がられる。 「すぐ準備してくるから!!!」 俺はそう言って、ダッシュで部屋に戻った。 「・・・ジノとご飯行くの?」 「・・スザクは来たらだめ」 「知ってるよ、“ご褒美”なんだろ?」 頬を染めて、アーニャはこっくり頷いた。 新しい服を着たのも 貴方を待ち続けたのも あなたへのちょっとした ごほうび