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久し振りに休みが重なったから どこかに行かないか そう誘われたのは昨夜 toe 真新しいサンダル。 ヒールが高い、とても。 いつもならこんな靴を買わないのに。 でも買ったのは理由がある。 サンダルに足を通せば 昨夜に急いで塗ったペディキュアがきらりと光った。 蒼い蒼い色 ラメで輝く白い蝶々 蒼色が彼の瞳みたいで 気に入って 買った。 準備をして駐車場に行けば、もう彼は運転席に座っていた。 「おはよ!」 「・・・おはよう」 そういって、勝手に助手席に乗り込んだ。 彼をちらりと盗み見るとやっぱり変な服。 大きな手が、ハンドルを握って キーをかける。 晴れたハイウェイを駆け抜ける。 「ねぇ」 「ん?」 「どこ行くの」 「どこ行きたい?」 「どこでもいい」 「えー」 「ジノが決めて」 「・・じゃあさ!新しくできた遊園地!!」 私はこくりと頷いた。 平日だったので、そんなに混んではいなかった。 二人分、入場券を買って入ると 彼は笑いながら手を差し出す。 私は意味がわからなくて。 首を傾げると、左手をとられて 大きな手と繋がった。 どくりと脈打った心臓 体温が享受されて 視線をあげれば 笑ってる 彼 「じゃ、まずジェットコースターで」 引っ張っていくのは無邪気だから。 二人で駈け出した コンクリートロード ジェットコースター 隣ではしゃぐ彼 こんなの日頃のナイトメアの操縦時と同じようなものなのに 笑顔を見ると、・・・なんだか私も楽しく感じた。 コーヒーカップ くるくる思いっきり回転させてる でも最後は顔色が悪くなってて 降りた後 「大丈夫?」 そう聞けば、 「・・う・・多分」 彼が大丈夫になるまで少し休憩して ミラーハウス 鏡の世界 合わせ鏡に映る いくつもの私 いくつもの彼 繋いだ手を離さずに 迷路をぐるりとまわってる メリーゴーランド 不格好なカボチャの馬車 ああ ほんとうにシンデレラみたい いつまでもこの非日常に溺れていけたらいいのに 戦闘 政治 守護 任務 全部から解放されたままでいれたらいいのに ガラスの靴じゃないけど ヒールの高いサンダルだけど 白馬の王子様はいないけど ナイトメアにのったナイト様ならいるけれど ・・・私もナイトだけど でもガラスの靴はそろそろ落ちるみたい ころころ変わってく彼の表情 携帯のカメラじゃ間に合わないの 瞳というレンズに映すことしかできなくて 記憶という記録に頼るのは一番嫌いなのに メリーゴーランドから降りれば ぽつり ぽつり さっきまでは晴天だったのに いきなり降り出した。 傘なんて持ってなかったから。 二人で駆け込んだ 観覧車の券売機の屋根の下 「あんなに晴れてたのになぁ・・・」 曇った空を見つめるジノ 雨に濡れた前髪から滴る雫 私の髪からも雫 言葉が発せられる度に動く喉仏 なんだかドキリと胸が鳴って 手を伸ばした。 「ん?どうした?」 「・・・別に」 なんだか不思議な感触。 雫が落ちる彼の前髪に触れるために 少しだけ爪先に力を入れた。 皮膚にくっついた金髪を少しはらってあげると 同じことをされた。 そのまま腕を後ろにまわされて 少し屈まれて・・・・ 落ちてくる唇に私は爪先にもっと力を入れた。 暫くそれを合わせていて でも私の痛みは実は限界に来ていて。 唇が離れた時・・顔がかたくなってしまっていた。 視線は自然と下へ行く。 彼は暫く私を見つめて 券売機で2枚チケットを購入。 「観覧車乗ろう」 そういってすぐ傍の乗り場へ向かった。 狭い空間に入れられて、 彼は何故か私の隣に座った。 「・・・靴脱いで」 ・・・バレていた。 さすが紳士とばかりに彼は鞄からハンカチを出した。 私がサンダルを脱ぐと 踵に靴ずれ。 痛みがジンジンする。 少し血が出ていて、ハンカチがゆっくりあてられた。 「アーニャ、辛いなら早く言えばよかったのに」 「・・・・」 「それにこの靴、すごいヒール高いし。  こけたら危ないぞ」 「・・・・・」 「そういえばアーニャ、ヒール高いの嫌いって言ってなかったっけ?」 「・・・・・」 私は俯いた。 ジノは不思議そうに覗きこんだ。 「な、どうして?」 「・・・・言いたくない」 「え、やっぱりなんか理由あるんだ。  教えろって〜」 「・・・いや」 「・・・ね、アーニャが靴ずれまでしてその靴にこだわる理由は?」 「・・・・・・」 気づいたら観覧車の個室の壁が背中で 彼の顔が迫っていて ああ 逃げられないってこと 私は溜息をついて 小さく深呼吸した。 目線は下。 だって視線を合わせたら 恥ずかしくて、泣けてくるから。 「背が高くなればいい・・って思ったから」 「・・・どうして?」 「ジノが」 「屈まなくて済むから」 「キスする時」 そう言えば、沈黙が流れた。 てっきり笑われると思ったから 驚いた。 恐る恐る視線を上げれば。 「アーニャさ、可愛すぎだから」 一緒に真っ赤になってて。 「じゃあさ」 「座ってしたら、屈まなくていいだろ」 「こんなふうに」 ふんわりと口付けられて 愛しさが零れた 外からは雨の音が聞こえた。 二人だけの空間に 時が止まればいいのにと 初めて思った