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「アーニャ、さっきなんで踊らなかったんだ?」 「めんどう」 スザクの通う学園の学園祭から帰ってきて。 ジノの部屋で話していたら、こんなことを聞かれた。 「ダンス嫌いなのか?」 頷く。 「どうして?」 「・・・・」 言いたくない。 言ったら嫌なことになりそうだから。 「あ、もしかしてできないとか?」 「違う」 「じゃあどうして?」 「・・・・・言いたくない」 俯いて視線をそらす。 ベッドの上に腰を下ろして、クッションを抱いていたから 顔は見られないだろうと思ったのに、 覗き込んできた。 「教えるまで部屋戻さないから」 にっこりと微笑んだジノは実はスザクと真反対。 つまりはサド。 あきらめて、いうことにした。 最悪の結果を招かないように。 「・・・苦手」 ジノはにっこり笑って、 「じゃあ、俺と練習しようか」 案の定、最悪の結果になった。 waltz 「ぜったいや」 そう言った時にはもう手を掴まれていた。 そして、そのまま床に立たされる。 「ほら、俺がリードしてやるからさ」 そう言って、何かを探している。 「あったあった!」 それを取り出して、何か機械を作動させて。 部屋に流れる、三拍子。 「・・ワルツ」 「そうそう」 そう言って、右手を差し出して 手のひらを上にする。 「どうぞ、お嬢さん」 「やだ」 「強情だなー」 そういいつつもジノはその手を下ろそうとしない。 「・・帰る」 「だーめ」 振りかえった瞬間に背中を抱きしめられる。 「じゃあ、俺の練習相手って事でさ」 「いや」 「あー、もう分かった!!  俺はお前と踊りたいの、アーニャ!」 「・・だめ?」 耳元で優しく低く囁かれる。 きっとこの甘い声で何人の女が落ちたのだろうか。 そして、彼にとって私もその一人なのだろうか。 「・・・そうやっていつも口説いてるの?」 「ん?気になる?」 「別に」 ジノの笑顔がいらいらする。 むしゃくしゃする。 でもこの人は多分 あたしがやるまで離してくれないだろうから。 「・・一曲だけ」 「やった!有難う、アーニャ!!」 もう一度振りかえる。 ジノが笑いながら、左手を差し出す。 そういえば、踊るのに手を差し出す必要はない。 不審に思いながら右手を差し出すと。 手の甲にキス こんなのきっと彼にとっては挨拶のようなものなんだろうけど。 無表情で無関心な仮面の下で真っ赤になって 心臓をバクバク言わせている私の事なんかきっと彼は知らない。 そのままその長い綺麗な指に私の指を絡ませる。 開いた手で腰を抱かれる。 私は彼の肩に手をのせる。 「いい?」 見上げて頷くと。 「ワン、ツー、スリー」 小さく囁かれて、踏み出す。 優しいワルツのテンポに合わせて、 リードされる。 いつもは転びそうになるのに、 なんだか今日はそうはならなかった。 「アーニャ、うまいよ」 見上げるとジノが笑っている。 ・・・さっき踊っていた人にもこの笑顔を見せたの? ああ、いつからこんな“女”になったの? わかんない ジノは別に私のものじゃない。 私の恋人でもなんでもないのに。 なんでそんなことかんがえるのかな どうしてむねがざわざわするの。 「どした?アーニャ」 「別に」 考えていることをあの蒼い瞳で全部覗かれそうで。 私は視線を足元に集中させた。 「つまんない、か?」 「・・別に」 ああ、もうすぐ曲の終わり。 やっとこれから解放されて嬉しいはずなのに。 この痛みはなんだろう。 これをせつないというの? 動きまわる足に気を取られていた。 握られていた手が、解かれていく。 不思議に思って、見上げた瞬間。 足が 「ほら、高い高い〜〜〜!!」 脇の下あたりを大きな両手で持たれて、 持ち上げられて、 私の足は宙に浮いた。 驚いて、思わず声を上げる。 「ジノ・・ッ」 「んー大丈夫大丈夫」 そう言いながら彼はくるりと一回転。 二回転 三回転 四回転 「目ぇまわりそう!」 そう言うなら、早く止まって欲しい。 けれど彼はくるくると回り続ける。 曲はとうに終わっていた。 そして、 「それ!!」 二人で回りながらベッドにダイブ。 「ははははははは!!!」 何が面白いか全くわからないけど、 ジノは笑っていた。 ほんとうに・・・ 「ばか」 「ごめんごめん」 二人でベッドに腰を下ろして。 「でも楽しかっただろ?」 「・・そう見えた?」 「いつもよりは楽しそうに見えたぞ!!」 「・・・・もういい」 伸ばされた手が頬を包む。 「何?」 「なぁ」 「・・・」 「アーニャってさ、彼氏いるの?」 なんでこんなことをこのタイミングできくのだろうか。 「・・・そう、見える?」 「いない、な。で、今までも付き合った事はない」 「そう思うのなら聞かないで」 「じゃあさ」 なんで、肩を引き寄せられた時に抵抗しなかったのか 息苦しさ、歯列を割って侵食する舌 からんでからんでからまって 「・・・こういうのも、初めて?」 唇が離れた時に真面目な顔で言われた。 こくりと頷いた。 今度は聞いていいのかな 「どうして」 「こんなことするのかって?」 「好きな女とキスしたいのは男として当然じゃねぇ?」 その声が嫌い。 その声に心が乱れる私はもっと嫌い。 「誰にでもそういうこと言うくせに」 「そんな男に見られてた?」 「そんな声出したら女は皆落ちるって思ってる」 「・・・でも落としたいのはお前だけなんだけど」 「女たらし」 「たらしだけど、今本気で好きなのはお前だけだから」 「きらい」 「嘘つき」 余裕な顔、全部全部全部あの瞳は見通している 「きらいきらい」 「だいきらい」 そうやって拒絶して、この思いに嘘をついて。 涙をこぼして。 「お前さ、妬いてるの?」 ぐしゃりと頭を撫でられた。 「『誰にでもそういう顔する』って言う事は  それに怒ってるって事は  妬いてるんだよな」 「・・・自惚れないで」 「じゃあさ」 「そんなに嫌なら俺の顔見て『嫌い』って言えば」 この男は隠れたドSだった。 苛々する。 本当に苛々する。 だからその蒼い瞳を睨めつけて、 涙で潤んだ瞳で教えてあげた。 「・・嫌いならもう打ってる」 堕ちていく音が聞こえた。