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急に寒くなったかと思うと、

空は曇りで、しとしとと降り出したのだった。


















































さみしいあきさめ



















































書類整理に一段落つくと彼は伸びをした。

ぐーんと肩を伸ばす。

手に持っていた筆先が天井を向いた。


サボり常習犯である副官の姿はない。



この雨のせいらしい。




昨日から降り続くこの雨は完全に夏を秋にした。

それも急激な気温の低下。





要するに彼女は風邪をひいて寝込んでいるのだった。


















伸びをして、冷えた茶をすすった。

自分でいれた緑茶はちょうどいい苦さで、

でも冷たかった。


















誰もいない部屋で彼は舌打ちした。

その音すら反響して、空間に渡り、

空気振動を支配していく。

















筆を走らせる音だけが響きだした。

いつもの甲高い女の声は聞こえない。

ただただ雨と筆の音。

彼はその新鮮さと、どこか寂しげなものを感じていた。




















ふと、会いたくなった。


















「・・・はんっ・・」













一人で苦笑して、一瞬止めた筆をまた走らせだした。










会いたくなったのは自隊の副官ではない。

他隊の副官で。











苦笑した理由は簡単だった。

ばかばかしい。










俺はいつからそんな男になったんだ




彼は内心笑うしかなかった。












大した理由もなく他隊の副官に会いに行く。

いくら幼馴染とて、公私混同じゃないか。

それにいつから俺はそんなセンチメンタルな気分に浸ってんだよ。












そう苦笑しながら、彼は無意識のうちで

筆を持つ反対の手で














五番隊に届ける書類を探していた。













それに気づくとまた筆が止まる。











雨音。

しとしと。












筆を硯の上において、頭を掻いた。

眉間に皺が寄る。

悪い癖だと自重している。





















気分転換に窓を開けた。

雨の匂い。




六月を彩る紫陽花はない。

そこにはただ雨とそれに打たれるコスモス。

白、ピンク・・・。
















気づけば濡れていた。

彼はそっと窓を閉じると、椅子に座った。




眉間を指で揉む。

目が疲れた時にしてしまう癖。















筆をとった。

いつの間にか指に胼胝ができていた。
















さらさらさら

しとしと

ごくり



さらさら

しとしと

ごくり



さらさら

しとしと

ごくり











こんこん















規則的音の最後に例外。



















「入れ」















すっと襖があいた。

会いたかった人だった。















「今忙しい?」

「いや」

「じゃぁいてもいい?」

「・・・どうかしたのか?」

「今休憩中なんだけどね」

「ああ」







































「きっと日番谷君寂しいだろうな・って」



































「・・どうして?」

「だって乱菊さんお休みだし・・」

「あのなー、アイツの休みくらいで俺が寂しがってたら・・」

「それに」








































「なんだか、あたしも寂しかったから」













































ぴたりと会話が止まった。
















しとしとしとしと




















少し驚いて、彼はその少女を見つめた。


肩と髪が雨で少し濡れていた。
















彼は手拭いを取り出すと彼女に手渡して。








































「俺も寂しかった・・・のかもな」



































彼女の冷たい頬を彼の子供体温が包み込んだ。























「くっしゅん」







彼女はちいさくくしゃみをした。







「風邪ひくぞ?松本みたいに」

「ホントだね・・でも

 シロちゃん、あったかい・・」

「日番谷隊長だ」









包み込んだ頬を少し引っ張ると

はにかむように微笑んだ。








































しとしとしと














紫色の唇に

もうすぐ子供体温が熱伝導するのだ。













しとしと













それは二人だけの秋雨の日の思い出