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君を人間にしてあげる



















































憎い



















































新羅に面白いものを貰った。

それを使ってみることにした。



夜二十三時。

ボロいアパートのチャイムを鳴らす。

出てきた男はスウェット上下姿。

顔を確認する前に、身体に極太の注射針を叩きこんだ。




「!!?」




即効性のその薬でふらついた男の胸倉を掴んで

生活臭の溢れるリビングで彼を押し倒す。

腹筋の上に跨る。

日頃見下ろされる男を見下ろすのが心地よい。







「てめ・・・ッ、何した!!」

「筋弛緩薬っていうんだってさ。

 これならシズちゃんも抵抗できないよ」





案の定シズちゃんは何もできずに

俺を悔しそうに見上げている。








「ねぇ、シズちゃん」






「人間は何を生物と定義してるか、知ってる?」

「ああ?何を・・いきなり・・」












「人が定義する『生物』、それはね

 『自分の力で自分の子孫を作れるモノ』を人を

 生物って言うんだ」












「さぁ、ここで問題です」




























「平和島静雄という怪物は、生物でしょうか?」



































俺は着ていたコートを脱いで、

上を脱いだ。

きつく巻かれたさらしが

シズちゃんの瞳に映るのが見えた。







「・・な・・んだ・・それ・・・」








「シズちゃん、試してみようよ」









しゅるりと、それを取れば、

シズちゃんの目に映るのは

俺の貧相な身体に付いている

二つの膨らみ。








「・・お・・まえ」

「ねぇ、セックスしようよ、シズちゃん」

「・・はぁ!??」

「もし、俺が孕んだらシズちゃんは生物になれるよ。

 怪物も生き物だって証明できるんだよ。

 君を人間とは認めないけど、生き物としてくらいは

 俺だって認めてあげれるかもしれないじゃないか。

 だから、ほら、しよ?」









君が生き物だってわかったら、

(君の子供を孕めたら、)

もしかしたら

(もしかしたら)

君を愛せるかもしれないじゃないか。

(君に愛して貰えるかもしれないじゃないか)






例え、それが、偽りだったとしても。





「ふざけんな」





シズちゃんは俺を睨みつける。





「テメェと、んなことするくらいなら舌噛んで死ぬ」

「えー。シズちゃんの童貞卒業を手伝うっていう意味もあるのにー」

「ふざけんな!そんなことするくらいなら、怪物で結構だ!」







面白くないなぁ。

(悲しいなぁ)








「どうして俺としたくないの?

 ほら顔だっていいしさ。テクだってあるしさ。

 シズちゃんの子供孕んだって、君に責任なんて求めないよ。

 いいじゃん。風俗の抜いてもらうのと同じだよ。

 あ、それに生まれた子が普通だったら、

 シズちゃんもうまくいけば、人間にカテゴライズされるかもよ?」









お願い、そんな風に扱ってくれるだけでいいよ。

君に愛を求めるほど、厚かましくないよ、俺。

本当は愛されたいけど、その資格なんて捨ててしまったから。








尻軽女で結構だ。

愛情なんて糞食らえ。

いいんだいいんだ。

この感情は腹の奥底で渦を巻けばいい。








「テメェこそ欲求不満なら余所をあたれっての!」







スウェットの上を捲って、

胸板の上に指を滑らせる。

厚い胸板。心臓がとくとく速い。





「っ・・やめろって・・・」

「・・い・や」





瞼を落として、唇をシズちゃんのそれに寄せた。

触れ合おうとした瞬間、

シズちゃんの大きな手が俺を押しのけた。

思わず尻もちをつく。





「・・ッ・・・ったぁ・・」

「・・はぁ・・はぁ・・・!

 やめろっつってんだろ・・・」






シズちゃんは、薬で弱った身体で

俺の身体を思い切り跳ねのけた。


俺は、痛みを感じつつ、

シズちゃんを睨んだ。

そして、息を飲んだ。
























なんで そんな顔  するんだよ























「そんなに嫌?」

「あ・・たりまえ・・だろ!」

「ふぅん」















「そっか・・・」















シズちゃんは驚いたような顔をして俺を見てる。


「・・・お前」

「・・え?な・・に?」

「なんつー顔してるんだよ」

「え・・、そんな変な顔してた」

「・・・泣きそうな顔してた」

「へ・・」
















言われた瞬間涙が零れた。

もうやめてよ

やめてったら



「・・臨、也」



「・・かえ、る」



「ッオイ!」





ふらつく足で立ち上がり、

ドアまで走ったけれど、

手を掴まれた。








「離せ!離せったら!」







そのまま手を引っ張られて、

抱きしめられた。

息が止まった。











「・・んで・・」










「・・てめぇこそ、なんで、そんな顔するんだよ・・」


「シズちゃんこそ・・なんでッ・・なんでこんなことするんだよ!!!」












「離してよ!

 俺のこと楽にしてよ!

 いっそのこと売女みたいに扱われた方が楽だった!!

 なんで、なんでなんでなんで!!

 なんでこんな・・抱きしめたりなんて、するんだよ!!!」









嗚呼、罵倒しか出ない唇が憎い。




































貴方を愛してると素直に言えたなら。



















































シズちゃんは腕を緩めた。

指先が俺の涙を拭った。



嗚呼、こんなにも苦しい。

何気ないことで私をこんなに苦しめる貴方が、

憎くてたまらない。