(ウルぴったん追悼)



もしも、君と違う世界で出会っていれば

















































眼窩と虚ろ



















































その人はごろりと

眼球を取りだした。

私は怯えてしまったが、

彼の能力の一つだということが分かれば

少しだけ安心できた。



「これを潰せば、俺の見たものを共有することができる」

「便利なんだね」



私は空っぽになった眼窩を塞ぐように

手で覆った。



「目は?」

「暫くしたら自動的に再生する」

「痛くはないの?」

「痛みはない」




「でも、潰すのはもったいないね」




私は彼から彼の眼球を受け取った。

不思議と嫌悪感はなかった。




彼は不思議そうに私を見た。




「だって、とても綺麗な瞳の色なのに」

「何を言っている。俺の瞳は黒一色だ」

「違うよ。黒い瞳はね」




見つめてる人を綺麗に映し出してくれるんだよ。




私はそう言って、その綺麗な眼球を

空っぽの眼窩に収めようとした。

でも、こう、痛みとかあったら・・・。

そう、ほら入れるコツというか・・・!

そういうのあったら、下手にしないほうがいいのかなぁ

と思っていたら、

彼は私の意図を感じたのか、眼球を受け取り元に戻した。




「俺はお前がわからない。理解できない」

「え?」



「何故、さっき俺の心配をした?」

「心配?」

「痛みがないかと聞いた」

「だっていきなり目を取り出したらびっくりするよ」

「それだけじゃない。お前は

 どうして俺に反抗しない?

 憎くはないのか?仲間を傷つけた俺が。

 敵の俺が」




その質問に私は少し考えて言った。




「例えば、私がここで貴方に反抗しても何も変わらないし、意味はないよ。

 私は貴方には敵わない」

「それに」










「貴方はこんなに澄んだ目をしてるから

 貴方は私に憎しみなんて向けないから」










貴方の瞳から零れるものは純粋な興味。

貴方の瞳から零れるのは純粋な恐怖。




貴方の瞳から零れるものは

愛情と言う感情が芽生える前の

小さな小さな双葉。





まるで生まれたばかりの赤子のように

まるで生まれたばかりの赤子のように










だから だから


















































「こわくないよ」



















































指先が触れる前に砂になる。

ねぇ、もし、貴方と私が違う世界で

違うように出会っていたら

きっと、もっと仲良くなれたよね。



本当はね、そんな姿似合わないよ。

天使みたいな好奇心なのにね。




その黒い瞳に次は綺麗なものを映してね。



笑う子供を

囁き合う恋人を

秋空の夕焼けを




願わくば、もう一度





















私を映してね。

























さよならは言わないよ。

ごめんねも言わないよ。











君のかけらは崩れ落ちていく。











世界は残酷で

君は悲しい人だったね。


























「俺が怖いか?」
























答えを知ってる問いはね、ずるいんだよ。

ね、何度も言ったでしょ。

貴方の瞳は綺麗だから
















貴方は綺麗だから



















怖くなんかないんだよ






















おやすみ ウルキオラ



















































黒崎君に出会う前に貴方に会っていたら

私は貴方に恋をしたかもしれないね。

そのさびしがり屋な指先を掴んであげれたら

貴方は幸せに眠れたのだろうか