ただ、今この瞬間が しあわせ マリィマリィ 今あたしと冴えない彼氏(らしいわね)は 某和食チェーン店前で食品サンプルを見つめている。 だけどさぁ。 「色気ないわね」 「昼にイタ飯食べたから 夜は和食が言いっつったのお前だろ」 「久しぶりに一緒にご飯なのにねー」 「じゃあ何食いたいんだよ」 「…この『海鮮丼ぶらこ』が食べたい」 「…奮発するんだな」 「何言ってんのよ、あんたの奢り。高給取りでしょ。あたしより!!」 「へーへー。んじゃあ、入んぞ」 いらっしゃいませ レジの少し年上らしい女の人が声をあげる。 人数を聞かれて、シカマルが二人だと言った。 奥から手前二つの席。 ご飯時だからかな。 和食だし、なんだか年配の人ばかりで あたし達はういてた。 注文して、おてふきで拭きながら、 ガラスの水を見ていた時に気付いた。 隣に座っていたのは、あたし達と同じカップルだった。 まぁ、彼らも案の定ういていたが。 温かいうどんに舌鼓を打ちながら 何やら話しているのが聞こえた。 『式もうすぐだね』 『招待状だしたよな』 『うん。楽しみだねー』 『そうだね』 結婚式間近みたいだった。 式の段取りとかそーゆー会話が聞こえた。 『あんた、将来結婚するんでしょー。アイツと』 冗談半分のサクラの言葉を思い出した。 結婚なんて、ピンとこない。 したいのかしら、あたし。 いいヤツよ、コイツはね。 うん。 でもあたし、ホントに合ってる? 対等なのかなぁ。 頭きれるらしいし。 IQ高いらしいし。 中忍だし。 あたし、まだ追いつける? ずっと同じ線に並んでたのに、 あんただけ一歩リードってさ。 「お待たせしました」 アイツはチゲ鍋。 あたしは海鮮丼。 「おいしそう!!」 「おー」 「あ、あんたの四分の一頂戴よ!! あたしの六分の一あげるから」 「…足して一にならねぇーよ。 俺が損してるじゃねぇーか」 「ばれたっ?」 「はぁ…」 「へへぇ〜ん、あ、すいません!小皿下さい!!!」 まだいいや。だって幸せだし。 まだ発展途上だし。 ね。 割り箸がパキンと割れた。 でもね、あたしはいつだってアンタのお嫁さん志望なんだからね