思えば君はそうだった オーガナイザー 髪の色、目の色、霊圧、目つきどれをとっても特異な俺に この世界で初めて話しかけたのは 髪の色、目の色、霊圧、目つきどれも標準的な少女 「こんにちわ」 ある晴れた朝にあった 俺はここに来てからずっと野宿で 腹を空かせて森の木陰で眠っていた 彼女は朝食の山菜集めに精を出していた 「君は一人?」 「なんだよ、どっかいけよお前に関係ねぇだろ!」 彼女はきょとんとして俺を見た 俺は直ぐに消えるだろうと思っていた 俺を見たヤツの行動は二択だった 無視か、暴力か 動物は自分と違うものを迫害し 忌み嫌い、見下す 自分が優位に立って、 相手に劣等感を味あわせて快楽を享受する その証拠に三日前にからまれた鬱血痕は まだ左腕で自己主張中だったし 逃げる時に足を切って、 足が痛んだ 水で洗っても数日中に治療しないと 膿がわいただろう 「…怪我してるの?」 彼女はしゃがんで俺を覗き込んだ 「関係ねぇだろっ!!!!」 彼女は俺の声にビクリと驚いた 「お前に関係ねぇだろ!お前だって俺の事変だと思ってんだろ 早く消えろ!!!!」 睨み付けた でも彼女は暫く考えて 真っ直ぐ俺を見つめた 「いやだよ」 「だからお前には…」 「関係ないよ でも怪我してる人ほっとけるほど落ちぶれてないし それに」 「?」 彼女はニコリと笑って 手を俺の頬にあてた 久しぶりに感じた人の温かさだった 「君全然変じゃないよ 目の色とか、髪の色とか凄く綺麗 特に目の色とかね、あの木みたい!」 彼女が指さしたのは森で一番大きな木だった 「君すごくかっこよくなるよ あの木みたいに」 「何…言ってんだよ」 「だからさ、まず怪我治さないとね!! あたし、薬草と包帯とってくるから 動かないでよ! あ、山菜も食べちゃだめだから!!」 「食わねえよ!!別に…そんなことしたって俺は何も持ってねぇし…」 「いいよ 何か欲しくて 君を助けたいわけじゃないもん …あ、じゃあ、名前!名前教えて!」 「…名前?」 「『君』ってなんかねっ!名前!! 何て言うの?」 「…お前は何て言うんだよ」 「あたし?あたしは雛森桃」 そう言ってまた笑った この世界にきてこんな笑ったヤツ初めてだった 「…教えたくない?」 「…ひ」 「ひ?」 「日番谷冬獅郎」 思えば俺を作ったのは あの慈愛に満ちた笑みだった