きらいきらいきらいきらい みんな きらい ピラニア 貴方が憎い貴方が憎い貴方が憎い あたしから遠ざかる貴方が憎い 貴方が憎い貴方が憎い貴方が憎い あたしを馬鹿にする貴方が憎い 貴方が憎い貴方が憎い貴方が憎い そうやって守ってる振りしてるだけ。 比較対象が欲しいんでしょ。 そうやってそうやってそうやって。 あたしを蹴落として楽しい? 貴方はいつだってあたしの思い通りにはならないもの。 貴方はいつだってそう。 そうやってあたしの感情に土足で入り込んでくる。 そうやってあたしの感情をズタズタに引き裂いて。 そうやって笑ってるんだわ、ねえそうでしょ! 今日だってそう。 長期の現世滞在から帰ってきて、 あたしのところに来た。 あたしはただ、自室で膝を抱えて座るだけ。 いいじゃない、非番だもの。 いいじゃない、仕事はちゃんとやったもの。 「雛森」 「何?日番谷君?」 笑顔で精一杯武装する。 笑ってるけど裏側で呟く言葉は『帰れ』 どうせ、どうせ、あなたには。 「・・・大丈夫、か」 「・・もう、平気だよ。考えることがいろいろあって・・」 傷つけないように言葉を選ぶ。 さぁ消えて消えて消えて。 だって心の中じゃ、傷つける言葉を叫んでばっかりだから。 「・・・なぁ、雛森」 「あ、日番谷くんはどうしたの?何かあたしに用事?」 「そんなに俺にいなくなってほしいのか?」 ピキリと笑みが固まった。 「え・・何言ってるの?そんなこと一言も・・」 「顔が言ってる」 「・・・・・・そんなことない・・」 「雛森」 「煩いってば!!!!」 あたしははっと口を押さえた。 彼はただいつものあの瞳であたしを見てた。 口から溢れ出すのは、鋭利な刃物のような言葉たち。 「・・その目で見ないでよ」 指先が彼の首を締めあげた。 あたしはその光景を客観的に見ているような気持ちになった。 どこかで激情に任せてて、どこかで冷静で。 「どうせ日番谷君にあたしの気持ちなんてわかんないよ!」 「今まで何も失敗や苦しみを知らずに  天才児って呼ばれて、何も不自由せずに生きてきて」 「ねぇ、あたしを追い抜いて楽しかった?」 「ねぇ、あたしを馬鹿にして楽しかった?」 「いつもシロちゃんはあたしの感情に土足で踏み込んでくる!」 「ねぇもう来ないでよ。あたしのところに」 「貴方は落ち込むあたしを見て、さぞ楽しいかもしれないけれど」 「ずっとずっとシロちゃんなんて大嫌いだもの」 「ねぇ、ニコニコ笑ってもらって楽しかった?」 「あたしが傍にいたら、一人じゃないって思えた?」 「本当は誰にも愛されてないくせに」 「誰にも愛されたいとも思わないくせに」 「仮にも幼馴染だからって、慰めて、自己満足に浸って!」 「貴方は楽しいでしょうね!」 あの碧の瞳がじっとあたしを見てた。 その度にあたしは指先に力を込めた。 死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ。 「貴方なんて死ねばいいんだわ」 「貴方が消えればよかったんだわ」 「藍染隊長の代わりに、貴方がいなくなればよかったのに!!!!!!!」 涙が止まらない。 あたしは指先をさらに強めた。 でも次の瞬間日番谷くんの霊圧が一瞬上がった・・。 それも憎しみが籠ったような。 一瞬ひるんでしまってあたしは手を退けてしまう。 そのまま手首を掴まれ、畳に押し倒された。 彼の手が上がったのを見て、 殴られると思い、とっさに目を瞑った。 「お前が望むなら、死んでやる」 信じられない言葉にあたしは目を開いた。 シロちゃんは泣きそうな顔で 今まで見たことないような顔でこっちを見てた。 「今は、隊長格がたりねぇから無理だけど  落ちついて、それでもお前が望むなら死んでやる。  隊長やめてもいい。死神だってやめてやるよ」 「・・・・・・・っ」 「俺は不自由だ」 「守りたくても、守れない。  傍にいたくても、いてやれねぇ。  守りたいから力をつけても、コンプレックス与えただけだった。  慰めてやりたくても、土足で感情を踏みにじることしかできねぇよ」 「素直に言葉にしたくても、素直に言葉にできねぇし」 「何一つ、お前の望みなんて叶えられねぇだろうな」 「自己満足で結構だ」 「俺は誰にも愛されなくったって構わない」 「お前を愛することができたら それでいい」 いつもそうなの。 本当はね知ってるんだよ。 誰が一番醜いかなんて。 誰かを傷つけることでしか 誰かを傷つけることでしか 誰かに愛されてるって気づくことができないあたしは まるでピラニアなんだ。 食べることしかできない。 あの醜い、醜い。 日番谷君はいっつもあたしのせいでボロボロなのに あたしはいつもそれをさらに傷つけて それでやっと気づくんだ。 「なんで、怒らないの・・。  なんで、殴らないの・・」 「・・・・」 「大嫌い大嫌いっ・・」 「しってる、馬鹿桃」 「大嫌いなんだから・・・」 「ああ」 「お前が大嫌いって言って泣きわめくのは、  お前が本音で向き合って暴言吐くのは  いつも俺だけだからな」 目が見えないよ。 涙で潤んでるの。 だって日番谷君はいつもお見通しなんだもの。 「お前は大好きじゃない人に大嫌いなんて言えねえ女だろ」 「・・・日番谷君、自意識・・過剰だよ・・」 「うっせ。お前それ言ったら今度は殴るぞ」 「ね」 「あ」 「やっぱり、死んじゃやだよ」 「お前の言葉一つで死んでたまるか」 「さっきと言ってること違う」 「俺は自己満足に浸る哀れな男なんだろ、どうせ」 「・・・・・・っ」 「冗談を真面目に取るな」 二人でぼんやり畳に寝転んで天井を見た。 手だけ、気づいたら繋がってた。 「ね」 「なんだよ、さっきから」 「あたしのこと、抱いてみたい?」 「・・・お前みたいな貧乳お断りだ」 あたしはそうやって、傷つけることしかできない だから 彼をもう一度見つめた。 「あたしのこと、抱いてよ」 あたしはそうやってまた彼を食い潰してく。 貴方の苦しむ顔があたしの栄養になるならば。 シロちゃんの指先が震えながら、あたしの死覇装に触れた。 あたしは口端を上げた。 しってる ほんとは あたしもあなたもピラニアだったって あなただけをたべたらイーブンじゃないから あなたがあたしをたべたらいい そしてあなたがこころをたべられて なけばいい ずっとずっとともぐいすることでしか あたしたちはあいなんてしめすことさえできないのに