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一緒に堕ちてはくれないくせに おぼれたさかな 同じ体温を持った腕が 俺の腕を撫ぜ下ろしていく。 「なにもくれないくせに」 罵倒しながら。 どれだけ身体を重ねたってお前は 何も満足しないくせに。 所有印の如くつけられた 肩口の歯型。 赤い赤いアカイ お前は嘯く何が欲しいんだ? 世界か偽りか嘘か現実か? 「なにをほしがってるかもおしえないのはそっちだ」 侵食点は何処? 不可侵領域の突破はいつ? 境界線の真ん中は? 腕を舐めまわすように落ちていく掌。 紅い唇が噛みつくように俺の唇を襲う。 淫猥さを含んだ口付けは くすんだ炎に再び熱を灯してく。 唾液の水音。 女の喘ぎ。 シーツの皺。 赤い歯型。 侵食の開始と同時にお前は 目を見開いてまた言うんだ。 なにもくれないくせに 俺は嘲笑を与える。 自分と彼女とわけのわからない何かに。 白濁に染まる意識と 背中に爪を立てる女。 解かれた黒髪は散らばっているだけ。 インロニカルに嗤うがいい。 ヒステリックに泣けばいい。 それでももうあいつはかえってこないよ もうおまえはおれだけをみて おれだけにおぼれて ぜんぶぜんぶみうしなって あのおとこなんてわすれてしまえ おまえをさしてきずつけたおとこなんて 虚ろな漆黒の瞳は何を見てるんだ。 俺を見ろ。俺だけを見ろ。 零れた一筋の涙の意味は? 快楽、絶望、失望 それとも 喘ぎと共に俺の名前を呼べよ。 溺れろ、堕ちろ。 アイツなんて早く忘れろ。 お前をこんなに苦しめてるのに お前をこんなに傷つけてるのに 優しすぎるから 「あ・・いぜ・・・・たい・・ちょ・・・」 抱いているのはあいつじゃないんだ。 抱いてるのは俺なんだ。 俺を見ろ俺だけを感じろ みるなみるなみるなよどんだせかいなんてみるな 漆黒に綺麗なものだけうつして生きてくれ 春の桜 夏の向日葵 秋の茜空 冬の雪原 遊ぶ子供 笑う友人 囁き合う恋人 綺麗なものだけうつして生きろって 「なにもくれないくせに」 そうだ おれはずるいから おまえになにひとつあげれないよ おまえからさくしゅだけおこなって ぶべつだっていいさ けいべつだっていいさ おれを縛めろ そうすればお前もおれに縛られて きっときっともう俺しか見ない おちてこい 堕ちてこい 俺はもう堕ちたから 狂う前に抱きしめたい 狂う前に俺の名前を呼んで 早くこの悲劇に幕を下ろしてくれ 小さな火を吹き消せば、 静かな虫の音が聞こえた。 隣に眠る裸体の女は 静かに泣いていた。 いっそ罵倒してくれれば楽だったのに。