「もしもし」 「…よっ」 「どうしたの…?忙しいんでしょ」 「まぁ、な。今夜も泊まり込みだ」 彼は今日も本部に泊まり込みらしい。 至近距離恋愛 付き合い始めて数ヵ月。 彼氏兼幼馴染みの新人中忍から電話があった。 新人らしくかなりこき使われてるらしい。 いいじゃない、あんたあたしより給料いいし。 まぁあたしより危険任務だけど。 「大変ね」 「おお」 「でも、今頑張んなきゃ。ねっ?」 「…わかってる」 「まぁ、あたしも修行してすぐ高給取りよ!」 「……」 「なぁに黙ってんのよ!あ、で用件は?」 「…無くちゃいけねぇかよ」 「何が?」 「用件」 あれ、こいつセンチ? かわいー 「そういうつもりないけど」 「…寂しくねぇの?」 「…寂しいわよ」 でも言ったら会いたくて たまらなくなるもん。 察してって、天才なんでしょ。 「ねー」 「あー?」 「だぁいすきよ」 「知ってる」 素っ気ないね、何それ 自分がかけてきたんじゃない もしかして既に氷河期なのかしら? マンモスレベルの大量仕事が二人の愛を 引き裂いちゃった? 「つめたいわねー」 「当たり前だろ」 何が当たり前?恥ずかしいから? あたしだって恥ずかしいにきまってるじゃない。 「それ言ったら、我慢できなくて本部から逃亡しちまうしな」 次の瞬間、あたしは受話器をガチャンとおいて。 コートとマフラーをひっつかむ。 「いのちゃん、どこ行くの!」 パパの声も右から左 「散歩っ!!!」 ドアをあけて、五度の闇へと飛び出すの。 満点の星空はあいてへの夜空の外灯。 白い吐息はあたしを奮い立たせる。 走り出す、外気を切り裂いて。 待ってられないわ。 あたしは王子様が迎えにきてくれるのを待てる 可愛いお姫様じゃいられない。 じゃじゃ馬ガールで結構よ! だから、あたしを見つけたら 目を丸くして 笑って抱き締めて この馬鹿って怒ってよ そんなあたしは 只今至近距離恋愛中