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(にょたかむ。阿伏兎が壊れてます) とんとんと鳴る音がなんだか懐かしかったのだ。 二人のロンド いくら自分がヤクザまがいの人間であろうが ヤクザだって血が流れてるわけだから 怪我をすれば病院行くし 風邪だってひくわけである。 『お前ねーよりにもよってこんな時に風邪ひくとかねー』 「・・すいません」 『いやー別に俺はいいんだよ。阿伏兎のぶんも皆  俺がブッ殺せたしさー』 「・・・」 『まぁ、とりあえずお大事にね』 「・・どうも」 『んじゃねー』 真伸びした声と共に電話を切った。 電話の相手は上司に当たる人間。 自分が所属する暴力団の団長である。 とはいえ、そのバックに怖いヤクザ様がいるわけなんだが。 今日はウチのバックの命令で とある同業者の一家を潰しにいく日だった。 今頃電話の相手は血まみれになっていることだろう。 勿論返り血で。 その上司はよく考えれば不思議な人間だった。 身長はそれほど高くない。 小奇麗な顔をした男。 ただ喧嘩と言う名の殺し合いをさせた時の あの修羅の顔は恐ろしいものがあった。 俺でさえ一度半殺しにされたことがある。 俺よりずっと若いくせに 人を殺した数も人の血に塗れた数も 自分より上のようなヤツ。 「俺いつか死刑になると思うよ」 なんて簡単にへらへら笑いながらいう。 ある意味、恐怖する男であった。 そんな上司のヘラヘラ顔を思い浮かべながら 痛む頭を抱えた。 医者の見立てでは数日休めば治るといっていたけれど。 頭がぼんやりして、また俺は眠りに沈んだ。 携帯の鳴る音で目が覚めた。 名前の欄には団長と書かれている。 部屋の時計を見ると昼の一時過ぎだった。 昨夜眠ったのは夜の一時のはず。 一二時間くらい寝てたらしい。 でも一向に体調は回復しない。 あと腹が減った。 「もしもし」 とりあえず電話に出てみる。 何かがやがやと後ろで聞こえた。 『もしもし、阿伏兎?』 「ああ、どうした?」 『寝起き?起こした?』 「いや、別にかまわねぇけど・・・」 『・・体調は?』 「・・宜しくねぇな」 『ふーん』 「あの・・なんですかね・・?」 何か考えていたのだろうか 団長は「うん」と一人頷いて。 『お前の家ってさー、どこだっけ』 「は?」 『いや、優しいからお見舞いに行ってやろうと』 「アンタのどこが優しいんですかー?」 『ほらほら、どうせ何も食べてないんだろ?  なんか買ってくからさー。  家どこ?』 確かにこの状況で何か食うものを買ってきてくれるというのは 有りがたい。 俺は住所を教えることにした。 『今ちょっと用事があってすぐには行けないんだけどさ、  多分4時くらいにはそっちに行けると思うよー。  寝ててくれて構わないけど。あ、部屋の鍵は開けておいて』 「へいへい」 『じゃあね』 ぷつりと切れた。 俺は特にやることもなく、とりあえず 乾いた喉を潤すために水を飲む。 団長に言われた通り部屋の鍵をあけておいた。 もう一度体温を計ると下がるどころか上がってやがった。 苛々して、もう一度布団に包まった。 目覚めると夕日が差しこんでいた。 とんだぐーたら生活してるな俺、と思いつつも 日頃聞こえない音に気がついた。 とんとんとキッチンの方から音がする。 団長が来るとか言ってたのを思い出して、 ベッドから降りる。 ふと気づけばさっきまで服やら何やらが散らかってた 床が綺麗になっている。 窓の外には洗濯物が揺れていた。 団長がやってくれたのか? いや、まさか、あのぐーたらがこんなことできるかよ。 と一人でノリツッコミしながら、 リビングとキッチンへ続くドアを開けた。 「・・・?あれ、阿伏兎?起きたんだ」 絶句した。 目の前の光景に固まっている。 というか理解ができない。 「どうした?」 団長は不思議そうに俺を見てくる。 っていうかこいつは団長であってるのだろうか。 まぁ、顔が明らかに団長なんだが。 一応確認する。 「・・・なぁ」 「ん?」 「アンタ、団長だよな」 「うん。熱で頭までイカれた?大丈夫?」 「かもしれねぇ・・。俺の記憶じゃアンタ男のはずなんだが」 「あれ、阿伏兎って知らなかったっけ・・?  俺、女なんだけど。なめられると困るからさ〜  団にいる時は男の格好してるだけ」 「・・しかもよぉ」 「うん」 「それって、近所の某有名私立女子高校の制服だよな?」 「うん。だって俺高二だもん」 「・・・・・・・」 「結構頭いいんだよ俺。文字通り文武両道ってやつ」 キッチンに立つ団長は 制服が可愛いのなんだの頭がいいのなんだので 有名な近所の有名私立女子高校の ブレザーとプリーツスカートに赤いリボンをしていた。 白い足を隠すのは紺のハイソックス。 いつもは三編み一本の髪は年頃の女の子らしく 靡いていた。 というか、今まで男だと信じていた人間に いきなり女だと言われて頭がついてきてない。 しかも、手をあれだけ血で汚してきた人間が まだ学生だという。 世も末だと思った。 俺は頭を抱えた。 「頭痛い?熱測った?」 すっと小さな掌が俺の額に伸びた。 最近女遊びなんてしてなかったもんだから その仕草にどくりとした。 「まだ熱あるじゃん。で、ご飯食べた?」 「・・・いや」 「だろうねー。今ね玉子粥作ってるから、座って待ってろよ。  あ、あと部屋とか片付けたよ。エロ本とか丸まったティッシュとか  落ちてないかなーと思ったけど、何もなかったねー」 「・・俺はどこぞの思春期のガキでもなんでもなく、ただのおっさんなんですが」 日頃めったに使わないキッチンのコンロの鍋には うまそうな玉子粥が入ってた。 もうすぐできあがりのようだ。 「林檎食べないー?俺も腹減ってきた」 そう言いながら団長は慣れた手つきで林檎を剥いていく。 「料理、うまいんだな」 「まぁ。一人暮らしだしね。母親・・死んじゃったんだけど、  病弱だったから家事も自分でしてたから」 「・・・・・」 初めて聞いた団長の身の上話に少し驚いた。 「アンタも結構大変だったんだな」 「それなりに。さ、辛気臭い話はやめようよ!  お腹すいちゃった」 玉子粥の椀が二つ。 剥かれた林檎。 あと、温かそうなスープ。(団長は「生姜が入ってるんだよ」って言ってた) 「いただきます」 「どうぞどうぞー。俺もいただきまーす」 ・・うまかった。 久し振りに自宅で誰かが作ったものを食べた。 「おいし?」 「ああ」 「そりゃよかった」 そう笑う笑顔はその辺の学生と変わらない。 不覚にも可愛いとか可愛いとか思ってしまった。 「昨日の殴り込み、どうだったんだ?」 「ん?壊滅させてきたよ。あたりまえじゃん」 玉子粥をかきこみながら話す会話。 内容は残酷なのに、なんだか感情がぽかぽかしていた。 「団長、顔に飯ついてる」 「ん?どっち」 「右」 「とれた?」 「ああ」 団長は機嫌がいいのか ずっと笑ってた。 「お風呂ね、沸かしておいたから入ってくるといいよ。  汗かいてるだろ?」 「・・・なんか悪ィな」 「・・・?何が?」 「・・アンタに看病してもらって」 「何、阿伏兎。お前に似合わず大人しい態度は」 「俺だってそういう気持ちになることぐらいありますよ」 「ふーん」 風呂に入りながら、団長に感謝してた。すこしだけ。 でも、あの美味い飯も、あの制服姿も、 他の団員は見なければいい。 とか考えて気づいた。 おいおいおいおい。俺まさか十以上年下の女に・・・惚れたのか? ・・ロリコン?っていうか・・・嘘だろ・・。 「あーぶとー。服乾いたから、ここ置いておくよー」 浴室のドアの外から真伸びした声が聞こえた。 「あ、ああ」 「それとね」 浴室の擦りガラスのドアに団長の背中が映った。 ドアを背にして座り込んだらしい。 「よく考えたら  団でね、俺の制服姿見せたのは、お前が初めてなんだよ」 一瞬考えていたことが読まれたのかと思った。 「よかったね、阿伏兎。お前は俺のブレザー姿を見た  第一号だ」 「・・へいへい、そりゃどうも」 平常心を保つので必死。 返事はどうしても軽くなる。 「あとね」 「そんなにね、今日、ご飯作ったりとかしたこと  気にしなくていいから。俺が勝手にやっただけだからさ」 「早く、よくなってね」 「お前が隣にいなきゃ、殴り込みしても面白くないんだ」 「今度風邪ひいたら殺してやる」 最後に聞こえた不穏な発言は照れ隠しだと分かった。 日頃めったに聞けないだろう、可愛らしい発言に こちらまで熱が伝線した。 というか、さっきからおっさんになってから 反応に疎い息子が若干勃ち上がっているんだが。 (これじゃただの変態だ) 団長はドアの向こうで立ち上がった。 「俺、帰る。ちゃんと髪も拭いて、薬飲むんだよ。  あ、あとね、今度は戸じまりもするんだよ。  保存ききそうなもの冷蔵庫に作っていれておいたから。  買い物にかかったお金はあとでお前の財布から抜いておくから」 「え、あ、ちょっ・・!」 「んじゃねー」 「待てよ、こら!」 扉を開けて、そのまま団長の手を掴んで、気づく。 団長は女で、俺は男で。 そして、現在俺・・・裸だわ。 団長はぴくりと止まって、 俺も途端に恥ずかしくなって動けなくなった。 というかもう打ってくれ、もう収拾が俺には付けられねぇよ。 汚いもの見せんじゃねぇとかキレて打ってくれ。 団長の視線は俺の顔から だんだん下へ降りていく。 思わず視線を逸らした。 「結構デカいんだね」 「・・アンタ何言っちゃってんの」 「お前こそ、ナニ勃てちゃってんの」 最悪だ。もう最悪だ。 熱に浮かされたのは俺なのか。 のぼせたのか、それとも、これも風邪のせいなのか。 「手、離せよ。濡れる」 「あ・・わ・・悪ィ」 急いで、手を離す。 そこから思いっきりビンタでも飛んできてくれたらマシだったのに。 (コイツのビンタって相当喰らう気がするが) 視線が俺の顔に戻って。 かと思えば、タオルを頭に掛けられた。 「しゃがめよ、変態。頭が高い」 痛烈な一言を言われたが 反論はできない。 仕方なく言われた通りに腰をかがめた。 SM嬢の如く股間でも踏まれるかと思ったが ただ、団長は俺の髪を拭いていた。 この沈黙に早くも殺されそうになる。 「阿伏兎のえっち」 そんな言葉を言われるが、 その声に覇気なんてものはなく ただ笑ってるように聞こえた。 そんな声で『えっち』とか可愛いことを言われると 本当にするぞ、えっち。とか思ってしまうわけである。 (もう変態と認めざる得ない) 「んでさ、何。なんで引きとめたんだよ」 「・・いや・・その・・・」 「・・・俺にえっちな悪戯でもしたくなったんですかー、おっさん」 「・・・・・・団長」 「何?」 「・・・怒らねぇの?・・ビンタの一つくらいされるのを覚悟してるんだが」 「・・別に。俺、阿伏兎のこと好きだし。なんか可愛かったから許してあげる。  それにホントに反省してるなら早くその御子息を元に戻せロリコン」 思わず顔を上げて、団長を見た。 「・・好きって・・・アンタ・・」 「うん、好き」 「えーっと・・その・・だな・・・」 「勿論、一人の男として、好き。  じゃなきゃ、わざわざ家にまで来て看病してやるわけないだろ」 真っ直ぐな瞳で見つめられた。 明らかにおかしい状態なのに 二人とも何も言わずに見つめあってた。 「俺のこと、嫌い?」 「・・・いや・・」 「・・好き?」 「・・・・・・・・その、だな」 「早く答えろロリコン。イチモツ引きちぎんぞ」 その言葉に急いで頷けば、にこりと笑って 頬にちゅっとキスされた。 ああ、もう、知るか 我慢なんてできるか ロリコンだろうがポリゴンだろうが結構だ、すっとこどっこい。 そう思って、そのまま寝室へ連れてって押し倒した。 そうやってぎこちなくまわりだすせかいで ただかのじょはおれのてをとったのだった。 「だめだって」 「我慢できるか、これだけ焦らされて」 「熱・・あるんだろ・・・んっ・・」 「ここでヤらなきゃ、精神が病む」 「・・えっち」 「男は皆えっちな生き物なんですよ、団長。  あとエロ本をベッドの下に隠してると思ったら大間違いだぞ」 「やっぱり持ってんじゃん、エロ本」 「制服脱がすのっていいな、視覚的に」 「・・・やっぱり引きちぎっておけばよかったかも。  もしくは粗挽きウィンナーにしておけばよかった」